山崎俊輔「発想の逆転でお金に強くなる『お金のトリセツ』」

老後、なぜ大半の人が貯金不足で後悔するのか?自動的に毎年15%儲かる老後資産形成法とは

「Thinkstock」より

確定拠出年金法の大改正が実現し、お金のトリセツに1項目加わる

 5月24日に確定拠出年金法の改正が実現し、2017年1月より現役世代なら誰でも個人型確定拠出年金に加入できることになりました。確定拠出年金といわれてもほとんどの人はぴんとこないと思いますが、現代の「お金のトリセツ」に「老後のお金の貯め方」という一章を設けるとしたら、必ずその利用が推奨される有利な仕組みのひとつです。

 有利な点は「税制優遇」です。自分の老後に向けて積み立てたお金を確定拠出年金口座に入金するだけで、所得税と住民税が軽減されます。年収や家族構成等の条件にもよりますが、15~20%くらいを実効税率とすれば、最初からその分を運用で稼いだと同義で、最初から無条件で稼げる投資といえるわけです。

 もう少し詳しくいえば、本来1万円を稼いでも、所得税や住民税が引かれるので8000~8500円が手取りになります。ところが、確定拠出年金の口座に入金することを選択すれば、1万円がそのまま入金されるのです。月400~500円の事務コストが生じますが、それでもお得です。

 しかも運用によって得られた収益については、受け取り時までずっと非課税になります。通常なら運用益には20%課税されるので、税金の差が明らかに資産額の差につながります。

 さすがに受け取り時に課税があるものの、税率は現役時代と比べ軽減されており、一括で受け取った場合、退職金みなしとなり非課税になる可能性すらあります。

 仮に22歳から60歳まで月1万円を積立に回し、年4%の運用益(手数料等控除後)が得られたとすれば、300万円もの差がつきます。

※項目名:確定拠出年金、通常の資産形成
・毎月の積立額:1万円、8500円
・運用益:4%、3.2%
・最終受取額:1068万円、755万円

 ここで重要なのは「そもそも積立に回した額は同一」「そもそもの運用成績は同一」でありながらこの差がつく、ということです。税金の差というのは長い目で見ると大きな差になる、というわけです。ちなみに確定拠出年金口座の資産は個人財産なので、国の制度だからと世代間の支え合いという理屈で減らされることもありません。

山崎俊輔/フィナンシャル・ウィズダム代表

1972年生まれ。中央大学法律学部法律学科卒業。企業年金研究所、FP総研を経て独立。個人の資産運用や老後資産形成のアドバイスが得意分野。日経新聞電子版やYahoo!ニュースなど多数連載を持つ。月間PVは200万以上。
フィナンシャル・ウィズダム代表 ファイナンシャルプランナー
financialwisdom

Twitter:@yam_syun

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