–LPガス車と比較して、タクシー車両としてのプリウスの燃費性能はどうですか。

呉尾 都心部をゆっくり走る分には問題ありませんが、ハイブリッドカーは高速で長距離を走る時はガソリンエンジンに切り替わるので、地方での利用には向いていません。

 また、バッテリーは消耗品なので、充電回数にもよりますが100%の性能を発揮できるのは最初だけです。バッテリーが劣化すれば、単なる「重し」に変わるため、最終的には「燃費の悪い非力なガソリン車」になってしまいます。

 プリウスはタクシー車両として乗り心地がよくないし、長い目で見ると、そこまでエコともいえない。私は、タクシーを利用する際にプリウスは避けるようにしています。やはり、タクシー車両としてはコンフォートがベストです。

自動車メーカーによる、タクシー車両の覇権争いが勃発か

–しかしながら、コンフォートは17年に生産終了します。今後、タクシー車両はどうなっていくのでしょうか。

呉尾 車両の生産終了後、10年間はパーツを供給し続けなければならないルールがあります。17年に生産が終わっても、コンフォートはその後5~6年は現役で走るでしょう。

 実際、日産のクルーも、コンフォートにシェアを奪われたとはいえ、生産を終えてから2~3年は走っていました。トヨタも、最新型のプリウスではタクシー車両への改造を意識して、少し改善を試みています。

 フロントのダッシュボードの部分に料金メーターを取りつけやすいように、やや広めにスペースをつくったのです。コンフォートは最初から料金メーターがスポッとはまるようにつくられていますが、こういった改良への気概は評価したいところです。

–ほかの自動車メーカーがタクシー事業に参入してくる可能性については、どうでしょうか。

呉尾 プリウスが今後もこうした改良を積み重ね、タクシー車両として都合のいいクルマに化けていけば、エコカーを主体としたタクシー事業に「うまみ」のようなものが見いだせるようになるかもしれません。

 そうなれば、ほかのメーカーも率先して参入を試みるのではないでしょうか。最近は日産の業績も良くなってきましたし、コンフォートが抜けた穴を狙って「クルー2」などを出してきたら面白いですね。それに対抗して、トヨタが「プリウスのコンフォートバージョン」をつくれば、タクシー事業の覇権争いのような展開が起きるかもしれません。

–ありがとうございました。

 呉尾氏の話を聞く限り、トヨタがタクシー車両を独占している現状は、そこまで盤石なものではないようだ。もし、タクシー車両をめぐって複数の自動車メーカーによる競争が起これば、車両のさらなる改良やサービス向上など、利用者にとってもメリットは大きくなる。

 街中を走るタクシーをめぐる自動車メーカー各社の今後の動向に、ぜひ注目していきたいところだ。
(構成=西山大樹/清談社)

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