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小林敬幸「ビジネスのホント」

最近やたらと目にするフィンテック、結局、儲かるビジネスにどうすればなるのか?

文=小林敬幸/『ビジネスの先が読めない時代に 自分の頭で判断する技術』著者

 規制との関係をいえば、ビットコインは本質的に規制の対象となりにくい。しかし、主要な通貨として使うには、流通量と流通スピードを上げるのが難しいので、ビットコイン取引所の開設とサポートが必要になる。このビットコイン取引所は、本質的に通貨の発行ともいえるものであり、遅かれ早かれ各国の金融当局の規制にかかるだろう。そんなこともあり、金融の関係者はビットコインよりもビットコイン以外のブロックチェーンの応用に関心を持っている。

社会的環境

 フィンテックビジネスをみるには、社会的環境についても目を配るべきだろう。

 まず、フィンテックが図抜けて進んでいるアメリカで成功したビジネスをそのまま日本に持ってきてもあまりうまくいかない。アメリカでは、銀行口座を持てない人、クレジットカードを持てない人が多くいる。また、日常的にチェックが使われているし、銀行が口座の入出金の計算をよく間違える。こういう環境だからこそ成功した簡単にできる決済や借入のサービスを、そのまま日本などの先進国に持ち込んでもなかなかニーズがない。

 もうひとつの社会的環境として大事なのは、規制との関係である。金融の分野は、消費者を守るためにも金融当局による厳しい規制のもとにある。至極真っ当なことで、アメリカでも同じだ。そこで、フィンテックのような新しいサービスを始めるには、事業者自体がその規制の緩和や解釈の修正を、当局と対話しながら進めていかなければならない。
  
 規制が強いことは、ビジネスにとってもかならずしもマイナスばかりではない。自分が先行して規制をクリアして新しいサービスを始めたら、規制が後続者の参入障壁になることもある。

 今、アメリカのフィンテックの世界では、ペイパル(PayPal)マフィアと呼ばれる、ペイパル出身者が活躍していることが多い。これは、彼らがペイパル立ち上げ時に金融当局との規制についてやりとりする間合いを心得たからだと思われる。日本においても2000年代に、銀行、証券、保険などの従来の金融サービスをネット化した事業を始めた人が、今のフィンテック企業をサポートしている。こうした規制当局との間合いを心得るのがビジネスの成功の鍵となっている。

 以上の分析によると、フィンテックビジネスに求められるポイントを次のようにまとめることができる。

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

小林敬幸/『ふしぎな総合商社』著者

1962年生まれ。1986年東京大学法学部卒業後、2016年までの30年間、三井物産株式会社に勤務。「お台場の観覧車」、ライフネット生命保険の起業、リクルート社との資本業務提携などを担当。著書に『ビジネスをつくる仕事』(講談社現代新書)、『自分の頭で判断する技術』(角川書店)など。現在、日系大手メーカーに勤務しIoT領域における新規事業を担当。

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