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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

「セブン&アイ鈴木前会長は流通の神様」のデタラメ…ヨーカ堂と百貨店は完全に失敗

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 衣料品をとってもヨーカ堂の年間販売額はおよそ1870億円ですが、衣料品チェーンのユニクロは国内だけで7000億円を超えています。洋服の青山の売上高もほぼヨーカ堂の衣料品全体と同程度です。つまり、購買力で競争優位に立てません。ユニクロなら原反から契約して先発で商品化を行い、他のチェーンとの差別化を図れますが、ヨーカ堂ではそれだけの数量を捌く販売力はありません。

 流通業が粗利を上げていくためにはPBがカギを握っていますが、セブン−イレブン以外では、MDに頼っていては競争優位に立てるPB開発には無理があるのです。

フランチャイズ・システムの罠

「機会ロスをなくせば売上は必ず伸びる」が、鈴木氏の口癖でした。それはセブン−イレブンのフランチャイズチェーン(FC)の仕組みでは成り立っても、ヨーカ堂や百貨店で通用するとは限りません。

 セブン−イレブンの強みはシステムの優位、またFC展開のきめ細かなバックアップ体制だといわれています。FC契約にしたがってセブン-イレブンから運営の指導を受け、セブン−イレブンから商品を仕入れて売るわけですが、仕入れのリスクはオーナーが負っています。

「商機のロスを防げ」と号令がかかり、過剰に仕入れ、売れ残った弁当や惣菜は結果店側が廃棄するので、セブン−イレブンには売れ残りのリスクがありません。しかも、賞味期限切れで廃棄される商品にまで本部へのロイヤルティーがかけられますが、加盟店が反旗を翻し契約違反だとして「廃棄ロス訴訟」が起こっています。

 セブン−イレブン側はFC店に商品を押し込めばいいだけなので、どうしても売り切ることへの甘い体質が生じかねません。その発想をヨーカ堂に持ち込むと大変なことが起こります。在庫コントロールが効かなくなってしまい、不良在庫が積み上がります。

 セブン&アイHDのワイシャツ事件がそれを象徴しています。初年度で数万枚の販売を担当者らは想定していたにもかかわらず、当時の鈴木氏の「機会ロス撲滅」の鶴の一声で計画が膨れ上がったのですが、結局は売れずに不良在庫として残ってしまったといわれています。

ドミナント戦略の罠

 セブン−イレブンはエリア集中型の出店政策で成功してきました。エリアに集中したほうが、物流は圧倒的に効率化されます。また知名度アップの効果、ライバル店を排除するパワーにもなってきます。具体的には、日販(一日当たりの売上高)が80万円を超えた店舗の近隣に新店舗を出すともいわれています。

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