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航空経営研究所「航空業界の“眺め”」

ANA、「JAL越え」達成でナショナルフラッグに…「不公平な競争」30年の死闘、だが…

文=牛場春夫/航空経営研究所副所長
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 公金を使って再生した日本航空と、自力でがんばっている全日空の間に不公平な競争環境が存続するというのが全日空の主張だ。

 12年8月、国土交通省航空局は「日本航空の企業再生への対応について」(8月10日ペーパー)と題する文書を発表。「公的支援によって、航空会社間の競争環境が不適切に歪められことがあってはならない」として、JALグループの12~16年度中期経営計画が終了するまでの間、日本航空の投資と路線計画について監視することとなった。

 そして、競争環境是正の具体策として12年11月には羽田空港の国内線発着枠を全日空に8往復、日本航空には3往復、さらに16年4月の羽田空港の米国路線発着枠を全日空に4往復、日本航空には2往復それぞれ配分した。結果として、この4年間でドル箱の羽田発着枠が、全日空に国内国際線合計で12往復と、日本航空の5往復の2.4倍が配分された。

 16年3月期決算で全日空は過去最高の当期純利益785億円(利益率4.4%)計上した。一方、日本航空は1809億円(同13.5%)と全日空の2倍以上の利益を計上した。両社とも燃油費の大幅下落がこの好決算を生み出したのだ。確かに損益計算書の「法人税等合計」は、全日空の524億円に対して、節税効果を享受できる日本航空は263億円とおよそ半分で済んでいる。そして有効座席キロ当たりの旅客営業費用【編注1】は、全日空9.3円に対して日本航空は8.8円となり日本航空が全日空を5.4%下回る。

日本航空のリストラ

 日本航空は「大きな利益計上は、公的支援の効果もあるが、自身のリストラによるコスト低下によるところが大部分を占める」と反論しているが、ここで日本航空のリストラと企業再生の道程を今一度振り返ってみたい。

・事業規模の縮小:国際線▲40%、国内線▲30%
・航空機数:▲30%、人員削減▲33%
・年間平均給与:▲28%(単体)
・企業年金削減(現役約▲50%、OB約▲30%)
・売却・統廃合による子会社削減:▲45%
(以上、数値は国土交通省12年11月資料)

 まさに血の滲むようなリストラが断行された。そして金融機関には総額5215億円の債権放棄を、株主には100%減資を求め、つまり破綻企業・債権者・株主の三者が痛みを分かち合って、10年1月19日に企業再生支援機構(現:地域経済活性化支援機構)から3500億円の出資を申し入れ、裁判所に会社更生法に基づく更生手続開始の申し立てが行われた。

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