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碓井広義「ひとことでは言えない」

なぜ『北の国から』は20年間も続いたのか?空前絶後のドラマ、すべてが尋常ではない

文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

 80年代は、現在へとつながるさまざまな問題が噴出し始めた時代だった。世界一の長寿国となったことで到来した高齢化社会。地方から人が流出する現象が止まらない過疎化社会。何でも金(カネ)に換算しようとする経済優先社会。ウォークマンの流行に象徴される個人化・カプセル化社会等々。

 それだけではない。「家族」という共同体の最小単位にも変化が起きていた。「単身赴任」が当たり前になり、父親が「粗大ごみ」などと呼ばれたりもした。また「家庭内離婚」や「家庭内暴力」といった言葉も広く使われるようになる。『北の国から』はこうした時代を背景に、視聴者が無意識の中で感じていた「家族」の危機と再生への願いを、苦味も伴う物語として具現化していたのだ。

 82年3月末に全24回の放送を終えた後も、スペシャル形式で2002年まで続くことになる『北の国から』。その20年の過程には、大人になっていく純や蛍の学びや仕事、恋愛と結婚、そして離婚までもが描かれた。フィクションであるはずの登場人物たちが、演じる役者と共にリアルな成長を見せたのだ。

 また彼らと併走するように、視聴者側も同じ時代を生き、一緒に年齢を重ねていった。それはまた、このドラマが20年にわたって、常にこの国と私たちの状況を“合わせ鏡”のように映し続けたということでもある。あらためて、空前絶後のドラマだったのだ。
(文=碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授)

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

碓井広義/上智大学文学部新聞学科教授

1955(昭和30)年、長野県生まれ。メディア文化評論家。2020(令和2)年3月まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。慶應義塾大学法学部政治学科卒。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年、テレビマンユニオンに参加、以後20年間ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に『人間ドキュメント 夏目雅子物語』など。著書に『テレビの教科書』、『ドラマへの遺言』(倉本聰との共著)など、編著に『倉本聰の言葉――ドラマの中の名言』がある。

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