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スズキ、独裁者・鈴木会長降ろしの社内クーデターで副社長解任…経営瓦解で存亡の危機

文=河村靖史/ジャーナリスト
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スズキ、独裁者・鈴木会長降ろしの社内クーデターで副社長解任…経営瓦解で存亡の危機の画像1スズキ・鈴木修会長(つのだよしお/アフロ)

「今回のことは私がCEO(最高経営責任者)の時代に法令違反していた。自分が逃げるより、再構築して健全な企業に発展させる基をつくることが必要と考えた」

 スズキの鈴木修会長は、燃費データ不正問題の責任を明確化するためとして、6月29日開催の定時株主総会とその後の取締役会で、CEO職を返上することを表明した。しかし、代表権を持つ取締役会長の職にはとどまることから「何も責任をとっていない」と批判が高まっている。ただ、長年にわたる鈴木氏によるトップダウン経営が社内の隅々にまでいきわたり、簡単に退くことができない事情も見え隠れする。

 6月8日、国土交通省を訪れたスズキ首脳は、燃費データの不正に関して責任の明確化と再発防止策を報告。経営責任について鈴木会長がCEO職のみを返上し、技術部門を統括する本田治副社長が退任するというもの。退任する本田副社長は66歳と鈴木会長を除く取締役(社外除く)では最高齢。「数年かけて役員の若返りを図る」というスズキの経営方針に沿って、もともと今年6月で退任する予定だったとみられる。昨年6月に社長に就任した鈴木俊宏氏は、役員報酬の減額はあるが、進退についての処分はなしで事実上、無傷だ。

 相川哲郎社長が引責辞任し、益子修会長兼CEOが年内に開催する臨時株主総会を機に退任することを決めている三菱自動車工業と比べても、燃費データで違法行為を長年にわたって続けてきたことの経営責任を明確にしたとはいいがたい。国交省への報告後に開いた記者会見では、1978年に社長に就任してから37年間、スズキのトップに君臨してきた鈴木会長が代表権を持つ会長にとどまることに対して「経営体制の面でこれまでと何が違うのか」という点に質問が集中した。

 鈴木会長は、「自ら反省しながら、全社的に再発防止策を徹底して健全な企業に発展させることが第一の責務と考えて続けていくことにした」とした。自ら独裁者としてふるまってきたことによる弊害を認めた上で「これからはチームでやっていく」と述べ、定時株主総会後の取締役会で、新しいCEOやCOO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)を決めて、集団指導体制で経営していく方針を示した。新しいCEOには鈴木俊宏社長が就任する予定だ。

 今後の鈴木会長の役割は「対外的な部分。チームで経営してもらい、大丈夫かを見極めるのも役目」としている。さらに、経営の第一線から退く時期については「1年でパッと変わるのは難しい。段階的に(後任に)引き継いでいく。経過措置は必要」と述べて明言を避けた。

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