–言われてみれば、確かにその通りですね。ましてや、大震災という非常時です。

開沼 土地勘もなく、目の前にいるたくさんの被災者がストレスを抱えている状況で、未経験のボランティアが強引に場をコントロールできるはずがないことを、まず自覚しなければならない。大変残念ながら、東日本大震災でも熊本地震でも、ほかの災害でも、行政職員が自殺する事件が起こっている。非常時に人の前に出て状況を整理する立場に立つ人には、それだけのストレスがかかるということです。

 人手や物資が増えるのはいいのですが、増えた分だけ、現場をマネジメントする経験豊富な人の供給を追いつかせる必要があります。

–ボランティア経験のない人は、被災地にどんな支援をすべきなのでしょうか。

開沼 地元の社会福祉協議会やNPO団体など、しかるべき支援の受け皿となっている団体の指示に従いつつ、自分ができること、自分がやってよかったなと続けられることを見つけながら、無理せずに持続的な活動をするべきです。

 あるいは、そういった支援機関に募金することです。その募金は、ボランティアの実務能力の高い人が現地でしっかり動くための活動費に充てることができます。

 東日本大震災でも、効果的かつ持続的に動くことができたのは、長い間地元でNPOとして地域づくりの活動をしていたボランティアでした。こういった前例を踏まえて、無理なくできることから始める必要がありますね。

–ありがとうございました。

 ちなみに、義援金は被災者に直接渡されるため、震災直後など緊急を要するタイミングであれば、NPO団体への募金が有効だという。「被災地の力になりたい」という善意は否定されるものではないが、その善意を示す方法を間違えないことが重要なのだ。
(文=谷口京子/清談社)

●開沼博(かいぬま・ひろし)
1984年福島県いわき市生まれ。東京大学文学部卒。同大学院学際情報学府修士課程修了。現在、同博士課程在籍。専攻は社会学。著書に『はじめての福島学』(イースト・プレス)『漂白される社会』(ダイヤモンド社)『フクシマの正義 「日本の変わらなさ」との闘い』(幻冬舎)『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)『地方の論理 フクシマから考える日本の未来』(同、佐藤栄佐久氏との共著)『「原発避難」論 避難の実像からセカンドタウン、故郷再生まで』(明石書店、編著)など。学術誌の他、「文藝春秋」「AERA」などの媒体にルポ・評論・書評などを執筆。

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