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石原藤樹「その医療の常識、本当ですか?」

塩分制限で病気増の危険も…十分な摂取がかえって健康的?制限要は高血圧の人のみ?

文=石原藤樹/北品川藤クリニック院長
塩分制限で病気増の危険も…十分な摂取がかえって健康的?制限要は高血圧の人のみ?の画像1「Thinkstock」より

 健康に良い食生活というと、皆さんはどういうものを思い浮かべるでしょうか?

 最近では炭水化物を取らない、というのが流行ですが、少し前までは塩分の少ない食事というのが、健康食のイメージでした。それでは、塩分というものは少なければ少ないほど良いのでしょうか?

 塩分が多いと血圧が上がって動脈硬化が進むとか、心臓や腎臓の働きが落ちる、というような話もあります。血圧が高くてお医者さんに行くと、「ともかく塩分は取らないようにしなさい」というような指導が今でも行われています。

 ただ、その一方で塩分を取ることの重要性が、指摘されることもあります。典型的なケースは熱中症の予防です。熱中症を予防するためには、こまめに水分と塩分を取りなさい、という指導が普通に行われています。高齢者では特に脱水になりやすいので、よりこまめに塩分を取りなさいと指導されます。普通のジュースやお茶、スポーツドリンクでは塩分の補給には不充分なので、専用のイオン飲料を使用するように勧められます。ただ、それは要するに味の付いた塩水なのです。

 高齢者には高血圧や心臓病、腎臓病の患者さんが多く、そうした患者さんは日頃は健康のために、塩分を制限するように指導されます。しかし、一旦熱中症の予防ということになると、今度は「たくさん塩分を取りなさい」という指導に変わってしまうのです。

 こんなおかしなことがあるでしょうか?

 なぜこんな不思議なことが起こるかというと、本当に健康のために取るべき塩分の量というものが、明確ではないからです。医者も栄養士も何グラムの塩分を取るのが正しいのかがわかっていないので、塩分制限が必要だ、ということになると、「塩分を極力取らないようにしなさい」というような具体性を欠く指導になり、逆に塩分の喪失が問題ということになると、「しっかり塩分を取りなさい」というような、これも抽象的な指導になってしまうのです。

 シンプルに考えれば、塩分は不足していても過剰でも、同じように体に悪いのです。しかし、問題はその上限と下限が具体的にどのくらいであるのかが、明確でないことです。

塩分摂取は多くても少なくても病気のリスクに

 一体、どのくらいの塩分が本当に体にとって必要で、どのくらいを超えると健康に害になるのでしょうか?

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

石原藤樹/北品川藤クリニック院長

北品川藤クリニック院長。医学博士。1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科大学院卒業。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任
北品川藤クリニック

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