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榊淳司「不動産を疑え!」

不動産市場、暴落突入の予兆…住宅余剰と賃貸空室率の高さが異常水準、個人所得減が鮮明

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
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不動産市場、暴落突入の予兆…住宅余剰と賃貸空室率の高さが異常水準、個人所得減が鮮明の画像1マイナス金利について答弁する黒田日銀総裁(画像:ロイター/アフロ)

 アベノミクスと呼ばれる経済政策が行われて、すでに3年以上が経過した。果たして、アベノミクスとはなんだったのだろう。そして、現に行われていることにどういう意味があるのか。さらに、不動産市場にいかなる影響を与え、未来をどう導くのか――。

不動産市場、暴落突入の予兆…住宅余剰と賃貸空室率の高さが異常水準、個人所得減が鮮明の画像2

 そもそも、2013年に始まったアベノミクスでは以下の「3本の矢」が示されていた。

(1)大胆な金融緩和
(2)機動的な財政政策
(3)民間投資を喚起する成長戦略

 現在では、それがいつの間にか次の「新3本の矢」にすり替わっている。

(1)2020年頃に名目GDPを600兆円にする
(2)希望出生率1.8を20年代初頭に実現する
(3)20年代中頃には介護離職をゼロにする

 まず、最初の3本の矢のうち(1)は今も継続中。「大胆」というよりも「異次元」もしくは「未曽有」の規模であり、「史上初」のマイナス金利にまで至っている。(2)はそれなりに実行され、(3)については見るべきものがない。

 一方、新しい3本の矢について、ほぼ不可能な「努力目標」にしか見えない。

 つまり、アベノミクスとよばれる経済政策のなかで、曲がりなりにも具体的に実行されて今も続けられているのは、「大胆な金融政策」のみである。あとは、いずれの政権でもよくあるただのスローガンでしかない。
 
 ところが、アベノミクスはこの大胆な金融政策が大いに成果を上げたようなカタチになっている。日本銀行の黒田東彦総裁は、白川方明前総裁の方針を180度転換して異次元金融緩和を行った。市場に供給するマネタリーベースを3倍以上に増やし、日銀自ら株式同様のETF(上場投資信託)を買い、不動産を証券化したリートまでもを直接購入している。

 その結果、80円前後だった対ドルの外国為替相場は一時期120円台半ばまで下落。株価も日経平均が一時的に2万円を超えた。企業業績は輸出系を中心にして好転。倒産は少なくなり失業率も下落し、人手不足が叫ばれている。

個人所得は実質マイナス

 しかし、一般庶民レベルではちっとも好況感がない。ウハウハとしているのは、都心の一部不動産業者と復興需要に沸く東北エリアの建設業者くらいなもの。日本人の9割以上が景気はいいとは思っていないのではなかろうか。

 それもそのはずで、統計数字に見る個人所得はちっとも上がっていない。むしろ、公共料金の引き上げや若干の物価高、そしてなによりも消費増税によって実質的には減少しているといっていい。

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト

不動産ジャーナリスト・榊マンション市場研究所主宰。1962年京都市生まれ。同志社大学法学部、慶應義塾大学文学部卒業。主に首都圏のマンション市場に関する様々な分析や情報を発信。
東京23内、川崎市、大阪市等の新築マンションの資産価値評価を有料レポートとしてエンドユーザー向けに提供。
2013年4月より夕刊フジにコラム「マンション業界の秘密」を掲載中。その他経済誌、週刊誌、新聞等にマンション市場に関するコメント掲載多数。
主な著書に「2025年東京不動産大暴落(イースト新書)※現在8刷」、「マンション格差(講談社現代新書)※現在5刷」、「マンションは日本人を幸せにするか(集英社新書)※増刷」等。
「たけしのテレビタックル」「羽鳥慎一モーニングショー」などテレビ、ラジオの出演多数。早稲田大学オープンカレッジ講師。
榊淳司オフィシャルサイト

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