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榊淳司「不動産を疑え!」

不動産市場、暴落突入の予兆…住宅余剰と賃貸空室率の高さが異常水準、個人所得減が鮮明

文=榊淳司/榊マンション市場研究所主宰、住宅ジャーナリスト
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 黒田総裁の異次元金融緩和は、円安と株価上昇という一面の目標は達成した。さらに、円安に伴って企業業績の回復にはそれなりに貢献したが、インフレは導けていない。さらには、最終目標である個人所得の上昇には失敗したといっていい。

 企業は儲かっても、それを社員には分配せずに内部留保に回しているのだ。だから、企業の内部留保残高は過去最高水準に達している。

 実のところ、アベノミクスは大失敗していてもおかしくなかった。今もって、あたかも成功したかのように見えているのは、大変な幸運に恵まれたからだ。

 その幸運とは、世界的な資源価格の下落である。原油価格は最悪期を脱したようにみえるが、いまだに最盛期の半額以下である。その結果、日本は黒田日銀総裁が望んだようなインフレには至らなかった。

 場合によっては年率3%以上のインフレを生起した可能性もある。それでいて今のように個人所得が上がらなければ、庶民の生活は苦しくなるばかり。安倍内閣への支持率は下がり、社会不安さえ生じさせていたかもしれない。安倍政権と黒田総裁は、皮肉なことにインフレを招かない原因となっている資源価格の下落に助けられているのである。

 ところが、黒田総裁は自ら掲げた目標である「2%の物価上昇」と、古巣である財務省の消費増税方針をサポートするために、異次元金融緩和を第2弾、第3弾とすすめ、とうとう日本金融史上初のマイナス金利まで導入した。

バブル崩壊後の風景

 その結果、何が起こっているのか。

 物価上昇につながっている気配はまったく感じられない。それよりも、「これ以上の緩和はないだろう」という空気が広がり、株価は下落して外国為替市場では円高傾向が鮮明となった。

 そして、日銀による国債の強制的な買い上げによって銀行の資産勘定には金利を生まない現金が積み上がった。銀行は少しでも金利を得るために、不動産融資に対する審査基準を大甘に緩和。その結果、日本の不動産市場の一部はバブル化した。

 すでに15年の段階で、不動産を担保とした融資残高はあの平成バブルの規模を超えている。これをバブルといわずして、なんといえばいいのか。

 平成バブルが崩壊した後、まずは住宅専門金融会社(いわゆる住専)の不良債権が問題化した。その数年後、北海道拓殖銀行などの大手金融機関が相次いで倒産。さらには都市銀行をはじめとした大手金融機関の統合が行われた。現りそな銀行には政府の資金が大量に注入され、実質的に「国有銀行」になっていた。

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