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トヨタのUber提携にタクシー業界から批判噴出…全タクシー車両トヨタ化計画に暗雲

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 日本では昨年、ウーバー・ジャパンが福岡市で配車サービスの実証実験を実施しようとしたところ、国土交通省が「白タク」行為にあたる可能性があるとして「待った」をかけ、中止に追い込まれた。その後、ウーバー・ジャパンは富山県南砺市と配車サービスの実証実験を実施する計画だったが、地域のタクシー業界の反発でこれも中止に追い込まれている。

 ウーバーの日本上陸に神経を尖らせている国内タクシー業界は、世界最大の自動車メーカーであるトヨタがウーバーと提携するとのニュースに驚愕した。国内の産業界に大きな影響力を持つトヨタが、配車サービスの普及に本腰を入れれば、タクシー需要を奪われるのは確実だからだ。ウーバーと手を結ぶトヨタに対して、業界内では日を追うごとに批判する声が高まった。

「オールトヨタ」化の障害に

 ただ、当初からトヨタは、ウーバーとの提携は日本を対象外としていた。国内タクシー業界は、多くの都市部でタクシーの供給過剰問題に頭を痛めており、国が主導してタクシーを強制的に減車する制度が本格化する見通し。こうした状況のなか、配車サービスが普及すると、需要減少でタクシー事業者の経営が立ち行かなくなる。

 タクシー業界の想定以上の強い反発に焦ったトヨタは、業界団体の集まる場で、ウーバーとは日本国内では協業しないと改めて明言することにした。トヨタが焦った理由は、前述のとおり国内のタクシー車両の「オールトヨタ」化を進める計画の障害になりかねないためだ。

 国内のタクシー車両で最も多いセダン型は現在、トヨタの専用車「コンフォート」と日産のタクシー専用「セドリック」がほとんどを占める。しかし、国の安全基準が強化されることから、これらセダン型タクシーは姿を消すことになる。日産はすでにセドリックの生産を14年に停止している。一方のトヨタは、コンフォートの生産を18年までに生産中止する予定。

 代わって高齢化社会を見据えたタクシー専用車として「次世代タクシー」を開発中で、17年度内に市場投入する計画だ。低床化・大開口スライドドアによる乗降性の良さや、タクシーの長距離走行に耐える高い耐久性を持つ。日産がセダン型タクシー専用車両から事実上撤退したこともあって、トヨタが次世代タクシーにかける期待は大きい。特に、多くの訪日外国人も利用するタクシー車両は、「日本を代表するクルマ」であり、これをすべてトヨタ車とすることで、日本がトヨタのお膝元であることを改めてアピールする考えだ。

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