
「プチ整形」という言葉が登場してから、早十数年。安全で安価な手法が次々と生み出されてきた美容整形は、一昔前に比べて、より身近なものとなった。実際、2014年に国際美容外科学会が発表したデータによると、日本の美容整形手術の件数は年間126万件を超え、世界3位にランクインしている。
しかし、その一方、増え続ける手術件数に比例するかのように、後遺症や痛ましい事故の報告が後を絶たない。そんな美容整形のなかでも、特に恐ろしいリスクを紹介しよう。
プロテーゼ挿入で一生醜く歪んだ鼻に…
美容整形手術のなかで、「目の整形」「ほくろやしみの除去」に次いで人気が高いのが「隆鼻術」だ。シリコン素材のプロテーゼなどを鼻に挿入することで低い鼻を高くする手術で、平均30万円ほどの費用で受けることができる。
一昔前の隆鼻術は、術後しばらくするとプロテーゼが鼻の先端から飛び出してきたり、鼻の皮膚が壊死したりしてしまうなど、リスクの高い手術といわれていたが、最近は事故も減ってきたとされている。しかし、「いまだに、取り返しのつかない事態に陥ってしまうケースが多々あります」と語るのは、都内にある美容整形外科の関係者・A氏だ。
「鼻は非常にデリケートな部位なので、人によってはプロテーゼを長年入れ続けているうちに、軟骨や組織が徐々に委縮していき、鼻がひしゃげたり曲がったりする場合があります。そうなると、たとえプロテーゼを抜き取ったとしても、元の鼻より低くなるばかりか、まるで思いきり殴られたように潰れた形になってしまうのです」(A氏)
鼻の組織が委縮してしまうと、元に戻すのは至難の業だという。なかにはプロテーゼを入れ換える人もいるが、鼻の組織をさらに押しつぶしてしまうことになるため、改善策とはいえない。結局、多くの人は定期的にプロテーゼを入れ替え続けるか、どこかであきらめ、醜く歪んだ鼻で一生を送るはめになってしまうのである。
「大きなプロテーゼを挿入している人ほど、そうしたリスクも増大します。芸能人などには、SF映画『アバター』(20世紀フォックス)に登場する宇宙人・ナヴィのように、不自然に隆起した鼻を持つ人がいますが、そういった人は危険も大きいです」(同)