
かつて、フェイスブックは「ユーザー数、10億人」を強調していた時期があった。実業家でブロガーの村上福之氏は、「それは本当か?」という疑問から、フェイスブックの「いいね!」やツイッターのフォロワー数、YouTubeの再生数が、いかに売買されているかについて調査。その実態とインターネットの「中の事情」をはじめ、ソーシャルメディアと現実世界の乖離について、著書『ソーシャルもうええねん』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)で冷静な視点で説いている。
本書の発表から、約4年。今を取り巻くネットの「中の人」の状況の変化と問題点、そして、個人はどうネットを使っていけばいいかについて、村上氏に話を聞いた。
若者にとって、ネットはもはや「空気」
–2012年に出版された本書では、フェイスブックが10億ユーザーを強調していることについて、「本当か?」と村上さんが探る様子が書かれていました。
村上福之氏(以下、村上) みんなわかってきているから、最近はあまり言わなくなってきましたね。フェイスブックがIPO(新規株式公開)をする前後は、さかんに「10億」を強調していましたが。『ソーシャルもうええねん』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション/村上福之)
村上 YouTubeやニコニコ動画がJASRAC(日本音楽著作権協会)と楽曲利用許諾契約を結ぶなど、権利関係の問題がクリアになったことが大きいですね。動画の権利関係については、「YouTubeの動画をテレビで流せば視聴率が取れる」ということに早くから気付いていたアメリカで先に取り組みが始まり、それが日本に入ってきたかたちです。
また、今のようにネットの動画が広まる前は、テレビでネットニュースを扱うと、どうしても「絵的にツラい」んですね。「Winnyで違法ダウンロードが増えている」「プログラマーがハッキングした」「2ちゃんねるで犯罪予告」なども、すべてパソコンの画面に字が出ているだけなので。写真や動画とリンクしたネットメディアが出てきて、絵的によくなってきたという事情はあります。そして、何より取材費が安く済むことも大きいでしょう。
「権利関係がクリアになった」「絵的によくなった」「制作費が安く済む」。この3つが、テレビがネットを取り上げるようになったポイントですね。
『ソーシャルもうええねん』 ソーシャルなんて嘘ばっかりだ。「お金を払う」ではなく「お金をもらう」とスキルは高速で身につく。つくられた情報に踊らされない思考術。

『節ネット、はじめました。 「黒ネット」「白ネット」をやっつけて、時間とお金を取り戻す』 時間がない! お金がない! 余裕もない!――すべての元凶はネットかもしれません。
