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宇多川久美子「薬剤師が教える薬のリスク」

最も高い「がん消失」率のがん治療薬誕生!抗がん剤よりはるかに効く!根治切除不能でも治療

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 がん細胞やウイルスなどと戦う免疫細胞は、攻撃を仕掛ける「アクセル」の役目と、相手が敵か味方かを判断して攻撃を抑える「ブレーキ」の役目があります。がん細胞は、免疫細胞から攻撃を受けそうになると、逆に免疫細胞のブレーキを働かせて自分を攻撃してこないようにしてしまうのです。オプジーボは、このブレーキが働かないようにして免疫細胞に本来の力を発揮させてがん細胞への攻撃を再開させるのです。

 もう少し詳しくそのブレーキがかかる仕組みを説明しましょう。

 免疫チェックポイントは、本来免疫の暴走を防ぐ仕組みのことで、これをがん細胞は悪用しているのです。がん細胞の表面にある「PD-L1」というタンパク質が、免疫細胞表面の「PD-1」というタンパク質をつかみます。するとPD-1をつかまれた免疫細胞はマヒして動けなくなり、がん細胞を攻撃できなくなるのです。オプジーボはPD-1をあらかじめブロックして、がん細胞のPD-L1がつかもうとしても、つかめないようにする薬なのです。

オプジーボ誕生までの紆余曲折

 オプジーボの開発は1992年に遡ります。本庶氏のグループは未知の分子を見つけ、PD-1と名付けました。その働きを突き止めるためPD-1を人工的に失わせたマウスに、関節炎や腎炎など、免疫が過剰に働くと起きる症状が現れることを確認し、99年にはPD-1が免疫抑制に関わっている仕組みを解明しました。

 本庶氏らは2002年、これらの成果を論文にまとめ「いずれ、がん治療はこの免疫療法が主流になるはずだ」と期待を膨らませましたが、論文はほとんど報道されなかったのです。

 薬の開発も、思うようには進みませんでした。開発を依頼した製薬会社はどこも前向きには捉えてくれませんでした。当時も、免疫システムを使うがん免疫療法は3大治療に並ぶ「第4の治療法」と期待されていましたが、大半は成功せず実現は夢物語といわれていたのです。

 逆風の中、本庶氏の恩師である京都大学早石修教授(当時)と付き合いのあった大阪の小野薬品が理解を示し、共同開発が始まったのです。

 しかし、まだ試練が続きます。薬をつくるには、PD-1分子の働きを邪魔する「抗体」が必要でしたが、小野薬品には抗体をつくる技術がありませんでした。抗体技術のある国内の会社13社に打診しましたが、すべてから断られてしまいます。

 国内では協力者が見つからなかったので海外に打診し、米メダレックスが抗体をつくってくれることになったのです。メダレックスは、がん免疫に取り組んでいた会社で、PD-1にも強い興味を持ってくれたのです。後に世界初のがん免疫薬「ヤーボイ」も創製されました。11年には、メダレックスがBMSに買収され、小野薬品とBMSのチームができあがりました。

 こうして、米ベンチャー企業との提携で抗体を入手することができ、オプジーボは誕生したのです。

『その「一錠」が脳をダメにする』


市販薬、処方箋、サプリメントの副作用など、
病気を抱える人だけでなく、小さな子どもや高齢者を持つ家族にも必読の1冊。

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