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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

外国人マネーが日本の不動産を手離し&売り始めている…不動産市場、後退局面入りか

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英国の経済的地位が低下


 英国は1980年代、サッチャー首相によって推し進められたサッチャリズムと呼ばれる経済政策のなかで、シティが牛耳っていた金融部門を、規制緩和によって広く外国資本に開放した。英国だけが儲かるのではなく、世界中のプレーヤーが一堂に集まることによって全体の水準を引き上げる「ウィンブルドン方式」として名を馳せ、シティは世界中の金融機関が集まる一大金融センターとしての地位を築き、その繁栄を謳歌してきた。

 ウィンブルドン方式は、海外からいろいろな人種が集まることによって、それまで「英国病」と揶揄されてきた英国の地位を大きく引き上げ、さらにはEU加盟によって、この恩恵にあずかろうとする多くの移民が英国の地に足を踏み入れ、英国経済を支えてきた。そして今、英国はウィンブルドン方式から決別し、独自の道を歩もうとしている。
 
 どう考えても英国不動産市場にとって、この事態は歓迎できるものではない。シティからは多くの金融機関が欧州の中心拠点を移転させることになるであろう。オフィス需要は急速に萎む。英国に見切りをつけた移民たちが、自国や他国に引っ越すことで、住宅需要は縮小し、商業施設の売り上げに影響が出るだろう。英国不動産に投資をしてきた多くの資本が傷つくであろうことは、容易に予想できる。

 英国EU離脱は、英国の経済的地位を引き下げるであろうが、もともとEUに英国は「遅れてやってきた」国であり、通貨はポンドのまま。「昔に戻るだけさ」と楽観する向きもある。日本に対する影響も一時的かつ軽微とする論調もある。果たしてそうであろうか。

減速の兆候


 日本に対する直接的な影響として「表沙汰」になっている事象は、「円高」と「株安」である。英国内で不動産投資に回っていた資金は引き揚げられ、世界のなかでは政治的に安定している日本の不動産の「買い」に向かうであろうとのお気楽な予測も出始めた。

 ここ数年、日本の不動産は外資系マネーによって買い支えられてきた。東京都心のキャップレートは4%前後にまで下がったが、世界的には東京は「安く」、安倍政権によるアベノミクスがもたらす「円安・株高」政策によって、外資系マネーが日本の不動産を買う環境が整えられてきた。

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