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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

それでも廃棄食品横流しは蔓延している…「ブラックホール化」する食品廃棄の闇

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

 なお、不当要求されたとき、「全面的、または一部応じた」は23.6%で、「威圧感を感じた」「トラブル拡大を恐れた」「家族や従業員など危害を受ける危険性を考えた」がその理由だ。

 逆に「全面的に拒否した」のが67.3%で、そのなかの35.1%が嫌がらせを受けた。それも「物的・人的損害を加えられた」のは少なく、「要求内容や態度・姿勢を変えてきた」「迷惑電話」「業務に因縁をつけ、監督官庁などに連絡するなどと脅かしてきた」などが多かった。

低位安定だが、道遠し

 環境省は、この「暴力団の不当要求等介入事例実態調査事業報告書」を発表後、09年度以降、業界団体の全国産業廃棄物連合会などの協力を得ながら毎年、全国的に「産業廃棄物処理業からの暴力団排除対策のための講習会」を開いてきた。

 また、11年施行の廃棄物処理法改正による、罰金1億円を3億円にするなど罰則強化【編注8】などもあって、かつてピーク時には年間1162件(11年度、ただし許可件数29万8801件)もあった許可取消など(事業の停止を含む)が12年以降は年間300件台【編注9】であり、いわば低位安定はしているが、クリーンな産業廃棄物処理業界構築の最終目的には、まだ道遠しの状況である。

 いずれにせよ、5兆円という大きな市場規模の産業廃棄物処理業界では、反社会的勢力などの存在が無視否定できないようだ。

 しかし、反社会的勢力などだけが問題を起こすわけではない。というよりも、これまでの多くの食の不祥事件は、少なくとも表面上は普通に見える企業が起こしている。次回は、廃棄物処理のコストの問題に触れながら、本家本元の食品業界の偽装の構造に迫ってみたい。
(文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト)

【編注1】租税特別措置法第42条の三の二、「中小企業者等の法人税率の特例」。『普通法人のうち当該各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が一億円以下であるもの…。法人税法の規定中…税率(100分の19)は、…税率(100分の15)とする』。ここで大企業自体を定義しているわけではないが、資本金の額が1億円以下を中小企業者としている

【編注2】自動車・同付属品製造(62.5兆円、財務省)と建設(51.3兆円、国土交通省)は14年度売上高。鉄道(6.8兆円、国土交通省)は12年度、百貨店(6.2兆円、日本百貨店協会)は15年。自動車整備(5.5兆円、日本自動車整備振興会連合会)は15年度、印刷(5.4 兆円、経済産業省)は14年、自販機(4.9 兆円、日本自動販売機工業会)は15年。証券(4.2兆円、日本証券業協会)は14年、放送(3.9兆円、総務省)は13年

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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