
7月14日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手の金銭スキャンダルを報じている。同誌によれば、ベースボール・マガジン社の池田哲雄社長に高級車ポルシェをねだり、最終的には800万円を超えるマカンの新車を提供されたという。
ベースボール・マガジン社といえば、「週刊ベースボール」などを発行するスポーツ雑誌の老舗。高校時代からのスター選手と専門誌社長の癒着は、業界に大きな波紋を投げ掛けている。スポーツライターが話す。
「プロ野球選手の取材はテレビや新聞が優先され、雑誌は『シーズン中だから』と後回しにされがち。記者席も雑誌にはほとんど用意されておらず、日本シリーズやクライマックスシリーズになると、『スペースがない』という理由で球団は雑誌社にわざわざチケットを買わせ、ライターやカメラマンは1塁側や3塁側の一般スタンド席で試合を見なければならないケースがほとんどです。テレビ・新聞と雑誌には大きな隔たりがあります。
そのなかで、ベースボール・マガジン社だけは特別に優遇されている。専門誌だからという理由があるにせよ、雑誌のなかでは完全に1誌で独占している」
逆にいえば、球団や選手から見放されれば、専門誌は思うようなページづくりができなくなる。プロ入り後伸び悩んでいるものの、話題性の高い斎藤が取材拒否となれば、雑誌に大きな影響が出ると考えられる。斎藤は、その弱みに付け込んだととらえられても仕方がない。
「かつては選手と記者の間に緊張感があり、決して馴れ合いの関係にならなかった。それが1990年代後半くらいから『いかに選手と仲良くなるか』ということばかりに焦点が置かれてしまい、両者のバランスが崩れ、圧倒的に選手優位となってしまった。その象徴が、今回のスキャンダルではないでしょうか」
選手の顔色ばかり窺うメディア
長嶋茂雄は巨人の監督時代、采配批判の記事を書かれても、取材拒否をするどころか「どんどん書きなさい」と懐の深さを見せていた。
「安倍政権やジャニーズ事務所のメディアに対する圧力にしてもそうですが、今はメディア側が弱くなったと感じます。昔は圧力があっても、うまく乗り切っていた。メディアとしての自負があったのです。でも、今は一線を保てなくなった。