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永井孝尚「企業の現場で使えるビジネス戦略講座」

いつもガラガラの紳士服専門店、なぜしっかり儲けている?衰退期突入でも周到な成長戦略

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 紳士服専門店が登場した70年代、販売の常識は「店を出すなら客が多く通る都会、特に駅ビル」だった。しかしこの時期、日本でも庶民が自動車を持つようになった。いわゆるマイカーブームだ。そこで紳士服専門店は「都会に出店する」という常識を覆し、ロードサイド店舗、つまり幹線道路に面した駐車場付き店舗を展開した。

 これが功を奏した。都会の店では、立ち寄るお客さんは多いものの一見客も多いので、必ず買うとは限らない。販売員の手間がかかる割になかなか売上につながらない。しかしロードサイド店舗の場合、お客さんはわざわざ店に車で来る。一見客はおらず、「スーツを買う」という目的が明確だ。

 販売員は実際に買うお客さんに対応できる人数でOK。さらに販売員は紳士服の専門知識だけを持っていればよい。販売員一人当たりでカバーできる店舗面積は、他業態と比べて格段に広くなる。だから店員はまばらに見えたのだ。人件費も抑えられ、さらに幹線道路沿いの土地代は安いため、販売コストも抑えられる。

 さらに買う気満々の来店客に確実に買ってもらうために、紳士服に絞り込んで要望に対応できるように品揃えを幅広く用意した。紳士服は1着数万円程度と高単価なので、1日に10人が来店して1着ずつスーツを購入すれば、売上は一日数十万円。SPAモデルなので、その売上の半分は粗利だ。収益性は高い。

参入障壁


 一方で大手紳士服専門店というと、前述した4社だけだ。儲かっているのに、なぜ他社は紳士服専門店に本格的に参入しないのだろうか?

 紳士服専門店は、1店舗で5万人の商圏をカバーする、といわれている。日本の人口は1億2700万人なので、大まかにいうと2500店舗で市場は飽和する。各社の店舗数は、2015年時点で次のようになっている。

 ・青山:897店舗
 ・コナカ:356店舗
 ・AOKI:567店舗
 ・はるやま商事:415店舗
 →合計:2235店舗

 ほぼ飽和状態だ。この状況で、紳士服チェーン各社は新規出店と閉店を繰り返している。つまり成熟した飽和市場で、強力な先行企業4社ですでに寡占状態になっており激しく争っているため、新たに他社が本格参入できる余地がない。言い換えれば市場への参入障壁が高いので、4社は「残存者利益」を得ているのだ。

いつもガラガラの紳士服専門店、なぜしっかり儲けている?衰退期突入でも周到な成長戦略のページです。ビジネスジャーナルは、連載、スーツ洋服の青山紳士服の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

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