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大ブームの水素水、がん予防や美容効果なんてなかった!高額商品も無意味

文=渡辺雄二/科学ジャーナリスト
大ブームの水素水、がん予防や美容効果なんてなかった!高額商品も無意味の画像1「Thinkstock」より

 先日、電車の中で、四角いレトルトパウチ容器に入った水素水を飲んでいる初老の男性を見かけました。老化やがんなどが気になるためか、「アンチエイジングに効果がある」「がんを防ぐ」などと話題になっている水素水を飲んでいるのでしょう。

 現在、水素水はコンビニエンスストアやスーパーマーケット、インターネット通信販売などで、さまざまな製品が売られています。その値段はいずれもかなり割高で、製品によっては通常のミネラルウォーターに比べて4倍以上するものもあります。はたして、これらは値段に見合うだけの効果があるのでしょうか。

 水素水とは、水に水素ガスを溶かし込んだものです。水(H2O)は、水素原子(H)2つと酸素原子(O)ひとつでできており、その意味では、水素は自然界や人間の体内に存在するありふれた原子です。水素水に含まれているのは水素原子が2個結合した水素分子(H2)で、これは水素ガスともいわれます。

 以前は、水素ガスは生理的活性のない、すなわち体にとって役に立たないものと考えられてきました。ところが今世紀に入って、老化やがん、動脈硬化などの一因とされる活性酸素と結びついて、それを除去する作用があるとして注目されるようになったのです。

 水素ガスは無味無臭の気体で、人間にとっては無害です。ですから、水に水素ガスが溶けている水素水も、安全性については問題がないと考えられます。ただし、人によってはお腹がゆるくなることがあるとの指摘があるので、その点は注意したほうがよさそうです。ちなみに水素は、天然添加物(既存添加物)としての使用が厚生労働省によって認められています。

 水素水は無害ではありますが、健康維持に効果があるのでしょうか。水素水が注目されているのは、体内の活性酸素を除去するといわれているからです。活性酸素は、体内で酸素が変化してできるもので、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカル、過酸化水素などがあり、一般にはいずれも「悪者」とされています。しかし、実は重要な働きも持っているのです。体内に侵入した細菌に対して、免疫細胞とともに作用して除去するという大切な役割があるのです。

 ところが、体内で活性酸素が過剰に発生すると、それが細胞や遺伝子に損傷をもたらし、がんや動脈硬化、老化などの一因になるといわれています。水素水に含まれる水素ガスは、活性酸素と結合して、それを水に変化させます。特に活性酸素の中でも、生体損傷を起こす作用の強いヒドロキシラジカルを選択的に消し去るといわれています。そのため、「がんや動脈硬化を防ぐ」「アンチエイジングに効果がある」、あるいは「美容にもいい」とネットなどで話題になっているのです。

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

渡辺雄二/科学ジャーナリスト

1954年9月生まれ。栃木県宇都宮市出身。千葉大学工学部合成化学科卒。消費生活問題紙の記者を経て、82年からフリーの科学ジャーナリストとなる。全国各地で講演も行っている

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