LINEはブック期間中に仮条件価格が引き上げられるなど異例の展開が続いたが、市場関係者の評価は高くない案件だった。それだけに、注目されるのは初値形成後の株価だ。5000円を上回れるかどうかが、当面のポイントになろう。

 アドウェイズ(東証マザーズ)や占いサービスのメディア工房(同)、ネットイヤーグループ(同)など、LINE関連銘柄として上場前に一時もてはやされた新興企業の株価が、総じて冴えない。LINE自体の株価が、上場達成で材料出尽くしになるのではないかとの見方が専門家の間で多いからである。

経営課題は山積

 LINEといえばスタンプだろう。同社が考案した、うさぎや熊のキャラクターのほか、サンリオのハローキティといった他社の人気キャラクターの画像を利用者が購入し、感情豊かな表現をするためのツールとして使っている。

 バラ色の夢ばかりではない。米国市場の攻略は一筋縄ではいかないからだ。中国で人気の微信も、米国では存在感が薄い。「文化的な違いもあり、LINEのスタンプが大きなビジネスになるとは考えにくい」と厳しい指摘をする米国の専門家もいる。

 シンプルなメッセージのやり取りが定着している米国で、LINEのスタンプが受け入れられる素地は小さいとみられている。

 国内では頻繁に利用する若年層ユーザーが多いのがLINEの特徴だ。LINEが、次の成長の土台となるとみられている生活インフラとして定着するためには、若者以外の認知度を上げることが急務だ。生活インフラで利益を上げるには、時間がかかるとの見方が多い。

 フェイスブックなどと比較すると広告が弱いのは事実。これは日本がほかの先進国に比べてデジタル広告の比率が低いことと無関係ではない。広告事業への新しい取り組みが求められている。

 海外には強力なライバルが目白押しだ。日米同時上場を実現させたとはいえ、フェイスブックの背中はまだまだ遠い。メッセンジャーアプリは自国で生まれたアプリが強く、ここ数年で世界の勢力地図は固まったとの見方が大勢である。

株価は割高

 7月15日、新規上場したLINEの終値は初値比555円安の4345円だった。安値は4310円である。午前10時36分に4900円で初値を形成、その直後に5000円まで買われたが、その後は売りが優勢となった。19日は前日比355円安の3990円と、さらに下落した。

 会社側は今期の業績予想を明らかにしていない。米系のジェフリーズ証券は今期の1株当たり利益を27.14円と予想している。初値ベースのPERは180倍だ。いちよし経済研究所の予想(1株利益53.5円)で算出しても91.5倍。

 フェイスブックやツイッターのPERは30倍だから、LINEの株価は相対的に、かなり割高ということになる。

 上場前の抽選に申し込みながら株式を取得できなかった投資家が初値買いに向かったため、公開価格と比較すると48.5%も高くなったが、市場ではもともと評価が高くなかった銘柄だ。今後の株価の推移に関心が集まる。

 初値天井(7月15日につけた5000円)になる懸念もないわけではない。
(文=編集部)

【続報】
 7月19日にLINEの株価が急落。一時、前週末比455円安(10.5%安)の3890円まで売られ、4000円の大台を下回った。終値は355円安の399円。15日に新規上場し、初値は4900円。高値は5000円だったが上値は重く、4345円で終わっていた。19日は見切り売りが優勢となった。上場後の記者会見で出澤剛社長が、「当面は日本、台湾、タイ、インドネシアでの展開に力を入れる」と述べたことから、世界進出を期待する投資家が失望した、との指摘もある。市場には「先行きの成長戦略が見えにくい」という指摘もある。任天堂に資金がシフトしているとの見方が多い。アドウェイズ(東証マザーズ上場)が17%安となるなど、19日にはLINE関連銘柄が軒並み安となった。フェイスブックなど先発大手のPERと比較してLINEは明らかに割高。7月27日に今12月期の第2四半期累計(16年1~6月)決算を発表する予定。情報を開示していない16年12月期決算に関して明るい展望を示せるかどうかにかかっている。

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