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JMR生活総合研究所「消費と会社の戦略を読む」

日本の自動車メーカーが、中国勢に逆転される可能性高まる…持たざる者の巧妙戦略

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 次に、中国の自動車市場のメインプレーヤーは、これまでの製造業ではなくなっている。「BAT」(バイドゥ、アリババ、テンセント)と呼ばれる中国IT産業の3巨頭がスマートカー領域に巨額の投資をしているからだ。これから数年間のうちに、電気自動車(EV)、車々間通信、車路間通信、自動運転領域への投資は1,200億元(約1.9兆円)を超える見込みとなっている。

 また、IT企業だけではなく、既存の自動車ベンダーでも投資競争が加速している。中国EV大手のBYDは、生産能力の不足分を補うため、沿岸部の山東省青島市と内陸部の長沙市に総額80億元(約1300億円)を投じ、新工場の建設を始めた。一方、ガソリン車ベンダーである長安汽車(市場シェア7位、SUVが主力商品)も、16年度に自動運転の研究費用として50億元(約800億円)を計上している。

 これらの新規参入プレーヤーの戦略は、伝統的な自動車産業のエコシステムそのものの陳腐化である。テスラをはじめとして、中国のBYDやコウディ(康迪)など主なEVベンダーたちは、メーカー中心の製造、販売、アフターサポートといった従来のビジネスモデルから脱却し、ユーザー中心の製品サービス化と人・機械のインタラクションをベースにしたモデルへの転換を図っている。

競争軸の転換

 自動車ベンダーがこれほど大きな変化を迫られている理由は、ユーザーの消費行動の変化にある。消費者の購買欲は明らかに「自動車という商品」から「移動手段」にシフトしているということを、世界中のリサーチデータが示している。中国のような比較的成熟度が低いとされる市場でも同じ傾向が確認されている。

 この消費者の行動の変化を読み取れば、未来の自動車市場は、物の所有ではなく、モビリティインフラに基づくサービスが中心とならざるを得ないということがわかる。同様の変化はまずコンテンツ業界で発生し、徐々に家電・ファッション業界にも広がりつつある。自動車のような大型耐久財の領域に浸透するのも、そう遠くないといわれている。

 この新興のモデルは、道路の混雑を軽減し、空気の質を向上させ、最終的に消費者により高い生活の質と利便性をもたらす。環境問題は経済発展のみならず、社会安定にも大きく影響を与えるため、中国政府も大きな関心を寄せている。EVと関連産業の発展を国家産業政策の重点分野と位置づけ、今後国による支援を拡大させていく予定だ。

 こういった中国の自動車産業の変化は、世界の他の地域でもみられるが、中国市場が進んでいる点は技術的および社会経済、ビジネスのイノベーションのスピードに原因がある。

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