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「飲む拘束衣」とも呼ばれる向精神薬の「ベゲタミン」が、今年いっぱいで販売中止となる方向だ。日本精神神経学会はかねてより、製造発売元のシオノギ製薬に販売中止を要請。同社はとうとう、その要請に応じた。
ベゲタミンは、強力な鎮静催眠作用のある向精神薬だ。「飲む拘束衣」とは穏やかな表現ではないが、患者を「鎮静させる=おとなしくさせる」ことができる強力な薬で、1957年に発売されて以来、興奮や不眠の症状が強い統合失調症患者などに処方されてきた。
眠らせる力が非常に強いため、「いろいろな薬を試したけれど眠れない」という人の切り札として一定の支持を得た。
しかし、次第に副作用の強さや依存性が危険視されるようになり、現在はあまり使われてはいない。特に医療機関が薬の管理をしきれない外来患者への処方は、ほぼ行われてはいない。
依存性が高いということは、その薬を飲まないと不安になったり、ふるえなどの離脱症状が出て落ち着かなくなり、かえって眠りづらくなる、つまり中毒性が生じるということだ。これは麻薬と同じである。