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大西宏「コア・コンセプトのビジネス学」

車の自動運転、夢物語の化けの皮剥がれる…死亡等の事故多発、ブレーキすら正常作動せず

文=大西宏/ビジネスラボ代表取締役

 グーグル・カーの場合はまだ笑って済ませるような事故でしたが、その2カ月後にフロリダ州で、テスラ・モデルSがオートパイロット機能で走行中に悲惨な死亡事故を起こしてしまったのです。

 この事故は高速道路に入ってきた18輪トレーラーにモデルSが激突し、ドライバーが死亡してしまいました。

 原因は、トレーラーの車体が白、背景の空も輝く日光のためほぼ白色で、光学式カメラによる車両認識システムがトレーラーを認識できなかったことです。さらに光学式カメラだけでなく、ミリ波レーダーでも検知する仕組みでしたが、ミリ波レーダーの情報から、トレーラーの車体を「高速道路上の道路標識」と勘違いしてしまったというのです(7月14日付「IT pro」記事「AIは勘違いする―テスラとトヨタにみる自動運転カー戦略の違い」より)。

 また、この事故に続くように、7月にもオートパイロット機能で走行していた車が2件事故を起こしています。テスラのこれらの事故は、過剰な期待に冷水を浴びせかけるような事態となりました。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルは、テスラはNHTSAに事故を通報したものの、米証券取引委員会(SEC)に対しては、事故についての情報を開示する書類の提出をしなかったために、証券法違反の疑いでテスラを調査していると報じています。テスラが生産拡大とソーラーシティ買収に充てる資金調達で公募増資を行う直前で、投資家にこの事故についての情報を開示しなかったのです。

 ただテスラが謳っている自動運転は、日本の国交省が分類し定義している「自動化」の4つのレベルでいえば、「ドライバーは安全運行の責任を持つが、操舵・制動・加速全ての運転支援を行う」というレベル2にすぎません。平たくいえば、あくまで運転はドライバーが責任を持って行い、それを補助する機能を持った車でしかありません。日本なら「自動運転」を謳うこと自体が問題視されるのではないでしょうか。

 ちなみにレベル3は、高速道路など特定のところでの自動運転が可能なレベルで、レベル4になって初めて完全自動運転が可能な段階だとしています。

 ところがスタンドプレイが得意なテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)にかかると、レベル2にすぎない機能も、マスコミが描く「夢の自動運転」がまさに実現したかのような錯覚をさせ、それを売り物にしたのです。

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

大西宏/ビジネスラボ代表取締役

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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