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「元Jリーガー」という肩書は、ビジネスの世界ではほとんど役に立たないのが現状のようだ。それでも、28歳でリクルートキャリアに転職した服部氏のような例もある。アスリートたちは、セカンドキャリアをどう考えていくべきなのだろうか。
「サッカー選手は、サッカーだけを夢中にやってきたので、サッカー以外の選択肢を知らないのです。しかし、それではいけません」
このように語る服部氏自身も、現役時代はサッカーの世界しか知らなかった。しかし、引退後のキャリアを考えたとき、大学時代の先輩や同期を中心として30名ほどの社会人経験者に話を聞き、目が覚めたという。
「最初は、サッカーと同じくらいやりたいことを見つけようという気持ちが強かったのですが、それが間違いだと知りました。やりがいのある仕事でも、サッカーと同じレベルで楽しいと思えることはないのです。やりたいことをしたいなら、『現役を続けろよ』と言われました。そこから考え方がちょっと変わって、『自分には何ができるのか』『何に困ってきたのだろう』と考えたときに、今が一番困っていることに気づいたんです。JリーグはJ3までできて裾野が広がった半面、今後は引退する選手がどんどん出てきます。そういう選手のセカンドキャリアをサポートできたらいいなと思い、リクルートキャリアの採用試験を受けました」(服部氏)
アスリートが充実したセカンドキャリアを送るためには、現役中に多くの情報を仕入れて、「やりたいこと」ではなく「やるべきこと」を探すのがポイントなのかもしれない。夢を叶えたアスリートたちが、ビジネス業界でも輝けるような世の中になれば、日本のスポーツ文化はさらに豊かなものになるはずだ。
(取材・文=酒井政人/スポーツライター)