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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

なぜ大企業も子供の夏休みも、「計画」は頓挫するのか?成功させる2つのコツ

文=牧田幸裕/信州大学学術研究院<社会科学系>准教授

2.それぞれのタスクの工数が十分にとられていない

 なぜ、プロジェクト計画を策定するときに、タスクの工数が十分にとられていないのだろうか。それは、タスクの高度専門化とメンバーの自分の能力に対する過信があるからである。

 エレクトロニクス企業でも金融サービス業でもそうだが、個々のビジネスパーソンが担当する業務は高度専門化し、その担当者は理解できても、マネジャーには理解できない業務が増えてきている。そうすると、マネジャーはその難易度を判断することができない。

 そのため、タスクの工数を検討する際に、どのくらいの工数が必要なのかわからないのである。そのような場合、マネジャーの心理として、限られた予算のなか、できる限り遊びをつくらず、ストレッチした工数を設定する。そうすると、実際には処理できないタスクとなり、スケジュールの遅延を発生してしまうのだ。

 一方、メンバーからしてみれば、自分のスキルを過少申告しづらいため、どうしてもストレッチした工数を申告することになる。自分の能力を過信しているわけだ。そうすると、結局処理できないタスクとなり、スケジュールの遅延を発生してしまう。

 このように、「大手企業の立派な大人たち=パパやママ」も、計画を頓挫させてしまう。だから、全国の小学生も計画策定に苦労するのは当たり前なのである。では、どうすればうまく夏休みの計画を立てられるのだろうか。そこには2つのコツがある。

1.自分の能力を過信するのは仕方がないので、ちょっとチャレンジしてみて、自分の能力を正しく見積もることができるようにする

2.全体を網羅する力はパパやママのほうが優れているので、パパやママに相談する

 では、以下に説明していこう。

1.自分の能力を過信するのは、仕方がないので、ちょっとチャレンジしてみて、自分の能力を正しく見積もることができるようにする

 小学生に夏休みの計画を立てさせると、スーパーサイヤ人のような超人的な計画を立てることが多い。朝、ラジオ体操に行き、帰ってきたらすぐに朝食を食べ、その後は勉強。昼食を食べ、また勉強。ハードワークで知られる外資系コンサルティング会社や外資系投資銀行も真っ青の凄いハードスケジュールだ。万能感にあふれている。

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年、日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授。2007年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授。2012年、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師。2016年、長野市産業振興審議会 副会長。2018年7月より現職。
牧田 幸裕|note

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