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牧田幸裕「得点力を上げるための思考再構築」

なぜ大企業も子供の夏休みも、「計画」は頓挫するのか?成功させる2つのコツ

文=牧田幸裕/信州大学学術研究院<社会科学系>准教授

 でも、小学生の策定する計画は、そんなものだ。そこを計画段階で無下に否定する必要もない。だから、まずやらせる。そして、一度頓挫させる。自分の能力の限界を把握できるようにする。

 そのために、夏休みを4分割してみるとよい。7月20~31日、8月1~10日、11~20日、21~30日。そして、7月20~31日は「捨てる」期間とする。挫折と頓挫の期間だ。多くの子どもたちが鼻息荒く計画を立てたものの、無理なスケジュールで工数をこなすことができない。無理なスケジュールで自分の能力を過信していたということがわかれば、それでよい。

 予定と実行にかなり乖離の出た7月27、28日あたりに親子で話をし、8月以降の計画を再度立てる。計画とは、修正するためにあるのだということを理解させる。安心させる。

 再計画を立てる際、8月1~10日は厳密に、8月11~20日は緩く、8月21~30日までは厳密に立てるようにする。お盆を挟む期間は、予期せぬ「遊びのタスク」が発生することが多いからだ。こうして、リスクマネジメントも次第に学べるようになる。

 もし、この計画もうまくいかなかったとしても気にする必要はない。夏休みの間、何度でも計画を修正すればよい。

2.全体を網羅する力はパパやママのほうが優れているので、パパやママに相談する

 子どもというのは、とにかく目の前のことしか見えない。だから、タスクの抜け漏れは必ず発生する。たとえば、自由研究を昆虫採集にしたとする。子どもが出すタスクは、「虫を捕まえる」「箱に入れる」くらいしか出てこない。

 しかし、

「どこで?」
「どのくらい捕まえる?」
「仮に捕まらなかったら、さらにどこに行く?」
「捕まえてから、標本にするまでにどのくらい時間がかかる?」
「箱は何を使う?」
「針は用意した?」

など、検討する必要がある段取りはさまざまであり、網羅は難しい。もちろん、こうしてタスクを網羅して考える子どもは少ない。だから、パパやママと一緒に考える。そして、タスクを組む。でも、実際に実行すると、予期せぬタスクが発生するだろう。それで構わない。そういう勉強をするのが、夏休みの計画だ。

 このような「計画→実行→チェック→修正」を繰り返していくことで、計画を立てる能力がどんどん高まっていく。先の4分割で、8月31日は空白にしていた。もし、計画が追い付かなければ、バッファーとして8月31日にがんばる。計画通りにタスクが進捗していたのであれば、8月31日は思いきり遊ぶ。親子で素敵な2016年の夏休みをお過ごしいただきたい。
(文=牧田幸裕/信州大学学術研究院<社会科学系>准教授)

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

牧田幸裕/信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科 准教授

京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。ハーバード大学経営大学院エグゼクティブ・プログラム(GCPCL)修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年、日本IBM(旧IBMビジネスコンサルティングサービス)へ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科助教授。2007年、信州大学大学院 経済・社会政策科学研究科准教授。2012年、青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科 非常勤講師。2016年、長野市産業振興審議会 副会長。2018年7月より現職。
牧田 幸裕|note

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