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トヨタとマツダ、深まる亀裂…トヨタ、傷付けられたプライド

文=河村靖史/ジャーナリスト
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 いすずのD-MAXは15年度の販売が約27万台と、1トン・ピックアップトラック市場で高いシェアを持つ。マツダといすずは日本国内で2004年からいすずの小型トラック「エルフ」を「マツダ・タイタン」としてマツダに供給している関係にあり、今回、ピックアップトラックに提携を拡大させることになる。

トヨタの「安売り」を懸念か

 一方で、マツダは15年5月にトヨタと経営資源の活用や、商品・技術の補完などに向けて業務提携することで基本合意している。このため、マツダが開発・生産から撤退するピックアップトラックの調達先としては、当然ながらトヨタが最有力候補となるはずだ。しかし、マツダがいすずからの調達を決断したことに首を傾げる業界関係者は少なくない。

 マツダがトヨタからの調達を避けた理由は何か。大きな理由が、トヨタの「安売り」を懸念したためと見られる。タイの新車市場全体が低調ななか、ピックアップトラックを中心に自動車各社の値引き競争が激化している。トヨタは新型車を投入したばかりだが、需要を喚起するためすでに大幅値引きに踏み出しているという。

 ここ数年「利益ある成長」を最重視しているマツダは、こうした動向を懸念していた。実際、BT-50の販売が低迷しているのは、トヨタをはじめとする各社のピックアップトラックとの販売競争激化が原因とみられる。仮にトヨタからピックアップトラックを調達すると、値引き競争に巻き込まれ、せっかく築いてきたマツダ・ブランドが傷つきかねない。

いつまでも具体的内容が見えない締結

 ただ、マツダがトヨタからピックアップトラックを調達しないのは、相互に生じている不信感が表面化しただけとの見方もある。マツダとトヨタは業務提携で合意した際、「具体的な話はこれから」(トヨタ・豊田章男社長)とし、両社で組織する検討委員会が具体的に連携する項目を検討するとして、その内容については見通しも含めて一切触れていない。その後は「(昨年5月の)業務提携基本合意から1年後をメドに具体的な提携内容を発表できる」としていたが、提携発表から1年以上が経過した現在も目に見えるかたちでの提携は明らかになっていない。

 マツダ関係者は「内燃機関(ガソリン・ディーゼルエンジン)にこだわるマツダは、電動化を加速しているトヨタと、目指す方向が異なる」と話す。また、自動車メーカー開発担当者は「(トヨタが注力している)燃料電池車が普及するわけがない。あんなものは金持ちの道楽だ」と言い切る。

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