経済効果は30兆円?

 運営予算があまりにも膨らみすぎ、当初の予定通りの負担割合ではまかない切れないことが発覚し、国、東京都、組織委の3者はあらためて負担割合を見直すとして3月以降に話し合いを始めたが、舛添要一前都知事の辞任などにより進展していない。新都知事の小池百合子氏と、国、組織委はあらためて交渉を再開する。

 膨らみ続ける経費に、どれほどの税金が投入されることになるのか、都民は監視の目を向け続けなければならない。ネックになるのは、組織委会長の森喜朗元首相かもしれない。森氏は、小池氏が「膨張する大会開催費用を検証する」と述べたことを受けて、「全体をよく見ていただきたい。コンパクトな8キロ圏内での開催は大変お金がかかる。我々も施設を削減してきた。よく勉強していただきたい」と述べ、見直しを暗に制した。犬猿の仲とされる小池氏との協力についても「小池さん次第だ」と語り、自ら歩み寄ることはない考えを示した。

 大会運営予算は、主に国際オリンピック委員会(IOC) からの分配金、テレビ放映権料、チケット収入、スポンサー収入などで賄うことになる。このほか、東京都は約4000億円の準備金を積み立てており、赤字が発生した場合には政府が財政保証する。当然、東京都の準備金も、政府の保証も、すべて元は国民が納めた税金だ。

 オリンピック招致にあたって、東京都は東京オリンピックを開催した場合の経済効果を試算し、13年から20年までの7年間に、全国で約3兆円、約15万人の雇用を生み出すと公式に発表していた。

 また、みずほ総合研究所と日本銀行は、それぞれ東京オリンピック開催に伴う経済効果は約30兆円と試算している。これは、外国人観光客の増加に伴う消費や、設備投資などを含めた波及効果も見込んだ数字だ。日銀の発表では、建設投資がピークを迎える18年には実質国内総生産(GDP)を14年比約1%となる約5~6兆円押し上げる効果があるという。

 どれほど経済効果があると明るいニュースを発しても、不祥事が立て続けに起き、経費が膨らみ続けては、国民の支持は下がり、ひいては協力意欲も削ぎかねない。早急に対策を立てなければ東京オリンピックの成功は危うい。
(文=平沼健/ジャーナリスト)

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