そもそも、最盛期にはアメリカだけで400店舗以上を展開する巨大チェーンだったクリスピーだが、04年以降は健康志向の高まりなどの影響で経営が悪化、06年に経営破綻している。その後、08年までに半数以上の店舗を閉鎖しており、現在はスーパーマーケットへの卸売などが主で、無店舗販売が中心となっているのだ。

 クリスピーが日本に進出したのは、アメリカでの経営破綻後、出資していた投資家たちが「少しでも資金を回収しよう」と販売権を売却したからである。日本出店の当初、クリスピーは「アメリカで大人気のドーナツ」と話題になったが、実際には、すでに消費者から見限られた存在だったのだ。

 そして、今や日本でも糖質制限ダイエットがブームになり、「脱脂質」「脱糖質」の傾向が強くなっている。店舗数の激減には、そういった事情もあり、アメリカで起きたことと同じ現象が日本でも起きているわけだ。

 もっとも、クリスピー日本法人の若月貴子副社長は、相次ぐ撤退は経営不振によるものではなく「今後20年、30年と日本の市場で事業を展開していくための意思ある撤退」と説明している。しかし、油と砂糖まみれのドーナツが、今後も消費者に受け入れられるのだろうか。
(文=松原麻依/清談社)

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