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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

退職者続出で経営危機から、突然に超優良な世界的企業に変身した「信じられない」きっかけ

文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー

 また、鋳造グループでは、造形道具が煩雑に保管されていたものを定位置化することによって、年80時間も短縮することに成功した。

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 このような業務改善の事例が部門を超えていくつも紹介されており、それぞれにどれだけ時間短縮できたのか、何が効率化されたのかが明記されていた。さらに、この業務改善を誰が率先して実行したのか写真付きで掲載されており、社員のモチベーションアップにもつながっていることが容易に推測できた。

 ほかにも、社内を見渡せば、壁一面に現在取り組んでいるプロジェクトの進捗がわかりやすく表示されており、誰が何に取り組んでいるか一目瞭然となる仕組みとなっていた。このように、業務改善の事例やプロジェクトの進行管理をお客にも公開し、透明性のある経営が誰の目にも明らかになっていた。筆者がこれまで取材してきた製造業の会社とは、まったく異質である。

 中小製造業の多くは、いわゆる職人たちで構成されており、専門性を極めている一方、社交的でなく暗い雰囲気を持つ。しかし、カルモ鋳工にはそんな面影がまったくない。工場内を見学しても、筆者と目があった社員は例外なく笑顔で「こんにちは!」とハキハキ挨拶してくれた。

大反発を受けた社長交代

 筆者が最初に会社のドアから入った時も、事務方の社員が全員起立し、笑顔で挨拶されたのは言うまでもない。その姿勢は自然体だった。挨拶はビジネスの基本中の基本といわれるが、製造業の現場でここまで徹底されているところは稀有である。これこそが、カルモ鋳工が成功している要因であることが、高橋氏の話でわかった。

「私は、今から10年前に社長を引き継いだ2代目です。しかし、社長交代の直後にいろんな混乱があり、本当につらい時期を過ごしました。社員から離反され業績も落ち込みました。その時、会社をどうしてでも変えなければならないと思ったのです」(同)

 高橋氏は学生時代、カルモ鋳工にアルバイトとして入った。当時の社長が高橋氏の遠い親戚にあたり、声をかけてくれたことがきっかけだ。4年間アルバイトを経験し、大学卒業後は3年間コンサルティング会社に勤め、その後カルモ鋳工に正社員として入社した。実はこのとき、当時の社長から「後継者がいないので、君が会社を継いでくれないか」と相談されていたという。

鈴木領一/コンサルタント

鈴木領一/コンサルタント

 思考力研究所所長。行政機関や上場企業の事業アドバイスをはじめ目標達成のためのコーチングも行っている。プレジデント誌などビジネスメディアへの記事寄稿多数。また100の結果を引き寄せる1%アクション(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、主婦から経営者まで幅広い層に支持されロングセラーとなっている。また、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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