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大学病院が危ない!手術が下手な医師のオペ横行で死者続出、バイトと医局間対立に勤しむ

文=編集部

日本の医学部の悪弊が凝縮された群大病院

 また、連日忙しい勤務の中でアルバイトに精を出していたことも問題視されている。給与が安い大学病院に勤務する医師は、本務の合間を縫って外病院でアルバイトするのが一般的で、群大病院でも週8時間までは認められていたが、A医師はそれ以上に行っていた。

 本来ならばA医師を監督すべき上司である教授も、調査報告書の提出とともに諭旨免職処分となった。循環器が専門で、腹腔鏡や開腹による肝胆膵の手術の経験がほとんどないにもかかわらず、教授は、A医師の手術では記録上「執刀医」となっていた。

 この実績を基に学会が認定する「高度技能指導医」を取得していたが、実際には手術の是非を判断する能力がなかった。A医師の手術について、内部からも「死亡例が多すぎる」と中止を求める意見があったにもかかわらず、教授は「A医師はよく勉強し、院内外からの信頼も厚い」として聞き入れなかった。

 事故調とは別に大学が設置した病院改革委員会は、「今回の重大事案は、肝胆膵部署における体制的欠如と医療に従事する者としての適格性を疑わざるを得ない医師が、この体制の主要な構成員であったことによって起こったものと思われる」と結論付けた。

 一連の問題をめぐっては、大学側の対応も問題だらけだった。千葉県がんセンターで腹腔鏡事故が多発している報道を受けて院内の状況を調査したところ、調査結果がまとまる前に読売新聞にスクープされ、その後も調査の状況が漏れ続けた(読売新聞は一連の報道で新聞協会賞を受賞)。

 焦った群大病院は、内部のメンバーが主導する事故調査委員会を設置。15年3月に執刀医の責任を追及する報告書を公表したが、外部委員から「勝手に『過失があった』と加筆された」とクレームがついた。

 すぐに該当部分を削除するという見識のなさを露呈し、調査をやり直す状況に追い込まれた。病院による調査では事態が収拾できないとして、大学本体が第三者主体の検証を進めたが、なぜか「事故調査委員会」「病院改革委員会」の2つをつくったため、両委員会がお互いに牽制し合う状況になった。

 両委員会とも、病院、医学部の構造的問題を厳しく指摘。新たに大量の研修や委員会が設置されたが、勤務するスタッフは「医療行為」以外に割く時間が増えて疲弊しているとの指摘も挙がっている。

 一方で、遺族会は雲隠れしているA医師への刑事告訴も検討しているなど、問題が解決するまでには、まだまだ時間がかかる。日本の医学部の悪弊を凝縮したような群大の問題。解決までの道のりは険しい。
(文=編集部)

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