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コンビニ店長の残酷すぎる実態!本部との「奴隷契約」で金を搾り取られ借金まみれ、脱退も不可

文=青柳直弥/清談社
コンビニ店長の残酷すぎる実態!本部との「奴隷契約」で金を搾り取られ借金まみれ、脱退も不可の画像1「Thinkstock」より

 日本全国に5万店以上あり、もはや現代人にとって欠かせない存在のコンビニエンスストア。日常品の買い物だけではなく、銀行ATMや公共料金の支払い、各種チケットの発券など、買い物以外のサービスで利用する機会も多いだろう。

 しかし、利用者にとって便利な半面、その裏で悲惨な境遇に置かれているのがコンビニ店長(オーナー)だ。自宅の食卓に消費期限切れの廃棄弁当が並ぶのは日常茶飯事。キャンペーン商品でノルマをクリアできなければ自腹購入するはめになり、一方的に本部の言い分をのまされる不公平契約、常態化する長時間労働、さらに常軌を逸した“モンスター客”への対応など、その過酷さは想像以上だという。

 そうしたコンビニ経営の実態を余すところなく記して話題を呼んでいるのが、『コンビニ店長の残酷日記』(小学館)である。

全売上を本部に送金、廃棄弁当も全額負担

 著者の三宮貞雄氏は、「一国一城の主」への憧れから、6年前の春に40代半ばにして脱サラ。某コンビニチェーンのオーナー募集の説明会に参加し、出店を決意した。しかし、事前に説明がなく、後から押しつけられた「加盟店に不利な条件」も多いという。例えば、そのひとつが毎日、売り上げの全額を本部に送金するという「掟」だ。本書には、こんなくだりが出てくる。

「コンビニ本部は、売上を毎日送金させることで加盟店を資金不足にし、『本部からの融資のおかげで仕入れができる』状態を人為的に作り出しているようにも見える」

「資金と会計、要は財務をほぼ全面的に本部に支配されて、加盟店オーナーは果たして経営者といえるのだろうか。加盟金の出資者であり、店舗の運営者ではあったとしても、通常の意味での経営者とはかなり異なった姿が浮かぶ。売上を毎日他社に送金しなければならない『独立経営者』は、コンビニ以外では聞いたことがない」

 この話ひとつをとっても、コンビニ店長が一般的な小売業の経営者とはかけ離れていることがよくわかるだろう。しかも、売り上げの全額送金は「加盟店に不利な条件」の“一部”でしかないという。三宮氏が語る。

「例えば、最初はタダで食べられてうれしいと思った廃棄弁当も、実は加盟店側の全額負担になることを後から知りました。特に驚いたのは『コンビニ会計』という日本独自の特殊な会計方式で、見かけ上の粗利をふくらませて本部の取り分が増えるカラクリを知った時は、愕然としました。また、『ドミナント方式(高密度多店舗出店)』といって、近所に同じチェーンの競合店を出すことを規制するルールがないことなども、すべて開業後に知ったことです」(三宮氏)

いきなり350万円の理不尽な借金を背負う

 さらに、「オープンアカウント」あるいは「本部勘定」と呼ばれる、一方的かつおかしな会計システムも存在する。

 例えば、経営を始める際、コンビニ店長は資本金150万円に加え、本部から500万円分の在庫を仕入れたとする。通常の独立した商店なら、ここで発生する差額の350万円は掛取引によって仕入れた商品の未払い金、つまり「買掛金」となるはずだが、コンビニ業界では違うのだ。本部側は、なぜかこの350万円を「本部から加盟店への与信」、つまり融資とし、本部に金を借りたわけでもないのに、加盟店は金利まで取られるというのである。

 そこにあるのは「本部が絶対」「加盟店は服従しろ」という奴隷のような構造だ。また、コンビニ店長は本部に対して訴訟を起こすこともできない。

「加盟店側が本部を訴えた例はかなりあるのですが、ほとんどのケースで加盟店が負けていると聞きます。本部は巨大企業なので、やり手の弁護士をそろえるなど費用面で太刀打ちできない。また、裁判所にも巨大企業に対する遠慮があるのかもしれません。それ以上に、コンビニの会計の仕組みは複雑極まりないため、部外者である裁判所にもよくわからない面もあると思います」(同)

 しかも、メディアにとって大手コンビニチェーンは莫大な広告宣伝費を投入してくれる大スポンサーの上、新聞や週刊誌はコンビニに販売網を握られている。そのため、大手コンビニのスキャンダルは、マスコミで一切報じられることがなくタブー化しているのが現実だ。

電気や水を盗用、レジで暴言を吐く客も

 こうした不公平な契約関係に加え、もうひとつコンビニ店長を困らせているのが、迷惑行為を働くモンスター客の存在である。

 実際、三宮氏は「外のネオン看板や水洗トイレの電源を抜いてスマートフォンを充電する」「外の水道に自分のホースをつないでマイカーを洗車する」「トイレで髪染めする」といった迷惑行為に遭遇しているという。もはや「お客様」というレベルではないが、「こうしたケースは、氷山の一角にすぎません」と三宮氏は語る。

「最初は驚きましたし、憤懣やるかたない気持ちになりましたが、もう半ば慣れっこになってしまいました。どうやら、お客様にとってコンビニは『自宅の延長』のような場所らしく、『素の自分』が出やすいようです。

 トイレを借りる際に店員に声をかけないのが当たり前だったり、殺伐とした世相を反映してかイライラしたりしているお客様も増えています。お昼どきなどに少しレジが混むと舌打ちしたり、小銭を探してオロオロしているお年寄りのお客様に聞こえよがしに暴言を吐いたり……。店員に対しても、命令口調というか、ぞんざいな態度をとる方が増えたような気がします」(同)

 本部に有利で奴隷のようなフランチャイズ契約に加え、店舗に集まってくるのも、迷惑行為を働いたり日々のイライラをぶつけたりしてくるモンスター客。コンビニ店長が自殺するケースが続出しているともいわれるが、あながちデマとは思えないほどのブラックぶりである。

 そこで、三宮氏は、今後コンビニ経営を始める人に向けて、このようにアドバイスする。

「まず、本部の説明だけで即断せず、自分で情報を集めてよく考えることですね。それと、契約期間中に加盟店が自己都合で脱退することはできないので、開業資金とは別に、ある程度の貯金がないと厳しいでしょう。私の店も妻との二人三脚ですが、いろいろな面で家族の協力が必須なので、よく話し合ったほうがいいと思います。『コンビニ経営が理由で離婚した』という話も聞きます。

 とはいえ、コンビニは近所になければ生活に困る、いわば社会インフラのひとつです。この仕事には『社会に貢献できている』という実感もあります。コンビニ業界のおかしな状況が、少しでも改善されるといいのですが……」(同)
(文=青柳直弥/清談社)

清談社

清談社

せいだんしゃ/紙媒体、WEBメディアの企画、編集、原稿執筆などを手がける編集プロダクション。特徴はオフィスに猫が4匹いること。
株式会社清談社

『コンビニ店長の残酷日記』 日本全国に5万店以上あり、原則24時間、365日営業で飲食料品はもちろん、各種サービスも豊富で、コンビニは今や我々にとって欠かせない存在となっている。ただ、その分、従業員への負担は増える。ひときわツライ立場にいるのが店長(オーナー)だ。当然、残業代なんていうものは出ない。食卓に廃棄弁当が並べられるのは当たり前。恵方巻きなどのキャンペーン商品でノルマ未達だと自腹購入もする。そして、トンデモ客に翻弄される姿には哀愁が漂う。そんなコンビニ店長の奮闘記。 amazon_associate_logo.jpg

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