
今、AV業界をはじめとする一部の業界が戦々恐々としている。
今年の6月11日、業界大手のAVプロダクション「マークスジャパン」元社長ら3人が労働者派遣法違反の疑いで逮捕されたニュースは業界に大きな衝撃を与えた。
かつて同社に所属していたという20代女性の「無理やりAVに出演させられた」という証言に、現役AV女優をはじめとする業界関係者は真っ向から反発しており、その真偽についてはいまだ議論が落ち着くところをみせない。
さらに7月8日、キャンプ場にてAVの撮影を行ったとして、AV女優や一般から公募した複数の素人男性らを含む52人が書類送検され、今まで暗黙の了解と思われていた業界の行為に捜査のメスが入ったことで、今後の展開は予断を許さない状況となっている。
摘発や規制が進んでいるのはAV業界だけではない。
パチンコ業界に対しても、再三にわたる指導にもかかわらずまったく進まない機種規制に業を煮やしてか、警察は「不正クギ問題」にからむ大幅な撤去リストを発表。業界からしてみれば以前から予想されていたこととはいえ、今回の撤去で体力の弱いパチンコ店などは台の入れ替えを行うことができず、違法台を設置していた部分をベニヤ板で仕切って営業しなければならなくなる懸念などもでている。
業界とはかかわりのない人間からしてみれば一連の動きも対岸の火事というか、身から出た錆というか、あまり気にかけることでもないのだが、このところの警察の働きぶりは見違えるほどだ。いったいなぜ今、これほどまでに急速に規制強化の流れがきているのだろうか。
東京を世界に恥じない街に
その大きな理由は、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックだ。
オリンピック招致が決定し、特に昨年から訪日外国人観光客が急激に増えていることもあり、東京をグローバルスタンダードに合わせようとする流れが起きている。
オリンピックなどの世界的イベントが開催されると、良い意味でも悪い意味でも、自国の文化に対して世界中の人々の注目を集めることになる。08年の北京オリンピックでは、動物愛護団体から批判の強かった犬肉料理の提供を禁止するように、北京市が112店舗のレストランに通知したことが話題になった。日本でも02年の日韓FIFAワールドカップ開催時には全国各地の繁華街で風俗店の大規模摘発が行われた。