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伊藤忠、不正会計疑惑に異例の大反論…情報流布の米ファンドへ「法的措置を検討」

文=編集部
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 在米のアナリストは「小粒だが無視できない存在」と評する。グラウカスは22件のリポート公表後の株価下落率は平均で50%としている。

「実際には初回リポート開示日の株価下落率は10数パーセント、10日後で10%弱のマイナスにとどまっているとみられる。日本進出も入念に準備してきたようだ」(市場筋)

 伊藤忠に対するリポートを公表した翌日、返す刀で香港市場に上場している徳普科技発展(テック・プロ・テクノロジー・デベロップメント)が標的になった。アルミニウム電解コンデンサーを製造・販売している会社だ。7月28日、テック社は商いを伴って急落。午後に前日比2.07香港ドル(91%)安の0.20香港ドルと、10年10月以来、5年9カ月ぶりの安値をつけた。終値は80%安の0.31香港ドル。グラウカスが「業績を著しく誇張している」などとするリポートを発表したのが株価暴落の引き金となった。

 グラウカスの投資判断は「強い売り」。目標株価はゼロと、無価値としたのだ。カウンターパンチを浴びてテック社は、あえなくKO(ノック・アウト)された。切れ味は鋭いのである。株価はその後も低迷したままだが、同社の時価総額はリポート発行直前で2000億円程度。伊藤忠とは比べるべくもない企業規模である。

台湾当局が告発

 失敗した事例もある。台湾証券取引所に上場していたAsia Plastic Recycling Holding Limitedに関して、14年4月24日、28日、5月1日の合計3回、「売り上げ等に水増しがあった」などという趣旨のリポートを公表し、台湾の証券取引市場に「会計不正」の情報を流布させた。これによりAsia Plasticの株価は14年4月24日から5月2日までの間に約31%下落した。

 台湾の金融監督管理委員会は「グラウカスは悪意を持って風説を流布した」とコメントし、同委員会はグラウカスを台湾地検に告発した。

 また、同年10月には、台湾証券取引所やその他の政府機関からの資金で設立された「財団法人証券及び先物投資保護センター」がグラウカスのレポートは「意図的な株式相場の変動を図る目的で風説を流布させ、取引市場における正常な価格形成機能を歪めた」として、グラウカスを訴えたのだ。

 同投資保護センターによる訴訟提起に対し、グラウカス側は応訴せず、口頭弁論の日にも裁判所に出頭しなかったため、欠席裁判でグラウカス側が15年3月31日に敗訴した。裁判所は、グラウカスはAsia Plastic社株の下落で損失をこうむった投資家に損害賠償責任を負う、との判決を下した。

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