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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

不動産市場、「危険な事態」が密かに進行…大手不動産、負債が異常膨張で霞む「出口」

文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役
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 需要を支えてきた中国人などの外国人投資家の動きも今年になって、円高や中国経済の失速などで明らかに色あせてきている。相続対策に熱心な個人富裕層も、タワーマンションによる節税策の封じ込めなども影響して動きが止まっている。マンションの出口が視界不良になっている。

あらゆる成人病が勃発するおそれ

 オフィスを中心とした賃貸運用資産にも暗雲が立ち込める。景気はアベノミクスの成果が試練を迎えるなかで、減速感を強めている。東京五輪まではなんとかなるだろう、という薄弱な根拠で、都心部には今後、「航空母艦」のような巨大ビルが林立する予定だ。

 日本の多くの大企業は今では海外でその多くの収益を稼ぎ出している。国内に多くのオフィス需要はもともと期待できない。オフィスについても今後、供給過多から賃料は弱含みで推移するであろうことは容易に想像できる。当たり前だが、賃料が下がれば、利回りが落ちる、利回りが落ちれば価格が下がる。

 そのとき、今まで通りREITが出口として強力な助っ人として存在し続けるだろうか。REITはいくらスポンサー会社の意向をくみ取るものといっても、上場法人である。マーケットがそっぽを向き、投資家がNOを突き付ければ、言うことを聞いたはずのREITが機能するかどうかはわからない。

 国が総力を挙げてきた日本経済好調のための演出は、そろそろ役者が尽き終幕が近づいているのかもしれない。そのとき、REITやマンション購入者といった出口をなくした不動産会社は、膨らみ切ったバランスシートを抱えてどこにいくのだろうか。わずかでも金利が上昇すれば、あらゆる成人病が勃発するであろうことは想像に難くない。

「不動産は好調で、今はあまり売却しなくても利益が計上できる」という不動産会社幹部のコメントは、刻々と迫りくる嵐の前で「まだ魚は獲れるはず」と言って漁を続ける漁師の気持ちと似ているのかもしれない。
(文=牧野知弘/オラガ総研代表取締役)

●牧野知弘(まきの・ともひろ)
オラガ総研代表取締役。金融・経営コンサルティング、不動産運用から証券化まで、幅広いキャリアを持つ。 また、三井ガーデンホテルにおいてホテルの企画・運営にもかかわり、経営改善、リノベーション事業、コスト削減等を実践。ホテル事業を不動産運用の一環と位置付け、「不動産の中で最も運用の難しい事業のひとつ」であるホテル事業を、その根本から見直し、複眼的視点でクライアントの悩みにこたえる。

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