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そこまでやるかトヨタ!新興国を席巻する破天荒な新車、徹底した現地化の神髄

構成=田中 圭太郎/ライター

常識はいらない! 現地目線で考える

–新興国で活躍できる人の特徴は?

岡部 新興国ビジネスでは、今まで経験していないことが次々に起きます。非日常の連続といってもいいでしょう。そこで必要なのは、“問題解決型”の思考です。

 問題解決とは、何か大きな問題が起きて対処するという意味ではありません。教科書やマニュアルに書いてあるようなこととも違います。私が言う問題解決型の思考とは、まったく経験がない未知の世界であっても、「何かを成し遂げたい」と思い、自分から問題に挑んでいく姿勢のことです。

 一番重要なのは、「問題を解決したい気持ち」があるかどうかなのです。知識と体力、それに頭脳も必要ですが、そういうものはあくまで道具です。「この国で、このプロジェクトをなんとしてでも成功させたい」「新しい製品を絶対に完成させたい」など、なんでもいいのです。問題を乗り越えたいという気持ちさえあれば、あとはその領域を勉強するなり、知識を総動員して考えるなり、一生懸命取り組むでしょう。乗り越えたいという気持ちが大前提ですね。

–実際に新興国では、どう行動すればいいのですか?

岡部 仕事のテーマについてその国の人たちの中に入っていかなければなりません。私はこれを「インサイダー化」と言っています。

 その国にある資源を使い、現地のパートナーの協力を得て、その国の人たちと利害を分かち合うことが大事です。価値観や文化、歴史などを共有することも重要です。

 私が新入社員の時から関わったプロジェクトに、アジアカーの開発があります。トヨタは1977年にアジアカー「キジャン」の生産をインドネシアで始めました。この車はドアの代わりに鎖を乗降口に架けただけ、ボディは鉄板を折り曲げただけ。トヨタの商品基準にはとても合わない代物です。そんな常識破りの車をなぜつくったのかというと、徹底した現地調査の結果でした。

 当時インドネシアは稲作農業が経済活動の中心で、トラクターを保有する華僑が現地の農民に稲をつくらせて、販売利益をほぼ独占してしまうのが実態でした。農民から話を聞くと、経済的に自立するため、農耕にも運送にも使える安価な農業機械を求めていることがわかりました。それでニーズにマッチした、多目的で安価な車両を開発したのです。

 しかも、キジャンは当時としてはあり得なかったのですが、すべて現地の部材や部品を使ってつくりあげました。結果、当時のインドネシアの大統領から「国民車だ」と絶賛されるほどのベストセラーカーとなり、現在は6世代目がインドネシア国内を走っています。

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