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村上純一「医療の裏を読む」

なぜ医師はバリウム検査を受けない?無意味で発がんリスク増大、重大な副作用も

文=村上純一/医療ジャーナリスト
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 そして何よりも、レントゲン検査には大きな利権が隠されているのだ。胃がん検診にレントゲン検査を推奨している国立がん研究センターは厚生労働省から支給されている科学研究費の一部を業者に預け、裏金をつくっていたことが発覚している。

 がん研は、検診業者と癒着しているのだ。胃部レントゲン検査に用いる「二重造影法」という技術は、日本が独自に開発したもので、それに過大な誇りを抱いていることも固執する原因となっている。

 さらに、検診車やX線装置などの設備には多大な費用がかかり、レントゲン技師や検診業者、バリウムを製造する製薬会社、フィルム等のメーカーなど、極めて多くの既得権益が絡んでいる。今や時代遅れのレントゲン検査だからといって、いきなり廃止することはできないのだ。

 がんをはじめとする胃の病気の発見に関しては、レントゲンよりも胃カメラのほうがはるかに優れた効果を持つ。がん発見率は3倍以上ともいわれる。病変が見つかれば、その場で細胞を切除して詳細な検査をすることもできる。これに対して、レントゲンを推奨するがん研の関係者は、「内視鏡(胃カメラ)では、治療の必要もないがんまで見つけてしまい、過剰医療につながるおそれがある」と述べている。

 早期発見を謳いながら、治療の必要もないがんを見つけてはいけないなどと詭弁を弄するがん研の体質にはあきれるほかない。

 レントゲンを推奨するがん研の方針に対しては、日本消化器内視鏡学会も強く異を唱えている。レントゲン検査の実態をよく知る内科、消化器科などの医師に聞くと、自分が人間ドックを受けるときは絶対に胃カメラにすると異口同音に答える。

 会社などの人間ドックでは、胃部レントゲン検査がパックになっていることが多いが、「自分で胃カメラ検査を受けます」などと伝えれば、レントゲン検査を拒否することはできる。デメリットを知った上で、検査を受けるのであれば何も言うことはないが、決してお勧めできる検査方法ではない。
(文=村上純一/医療ジャーナリスト)

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