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中国経済、進むも地獄・戻るも地獄の危機突入へ…世界秩序を無視し「中国排除」加速

構成=編集部

進むも地獄、戻るも地獄の中国経済

――昨年来、バブル崩壊が懸念されている中国経済ですが、足元の状況はどうなっているのでしょうか。

渡邉 まず、資金量が多すぎることによる過剰流動性の問題があります。資金量が多くても実体経済が回復しないため、企業の競争力が失われると同時に、人件費の高騰によって人口集約型産業は壊滅状態です。また、鉄鋼や船舶などの重工業は、過剰生産状態で採算が合わないような状況です。

 実体経済に回復の兆しが見えないため、企業投資は控えられ、ダブついたお金は海外に持ち出されて投資や資産購入に充てられてきました。しかし、外貨準備高の減少を不安視した政府は海外への資金流出に規制をかけ、その結果、国内に滞留するお金が新たなバブルを起こしているわけですが、それも実体経済の回復には寄与しないバブルです。

 本来であれば、金利を引き上げて資金量を絞るのが正しい政策ですが、バブル崩壊の最中に利上げを行えば、企業は潰れ、銀行は不良債権が顕在化してしまいます。だから、金融の引き締めができないわけですが、このままではバブルがどんどん膨らんで手に負えなくなる。そのため、中国は進むも地獄、戻るも地獄の状態なのです。

――中国といえば、「ゾンビ企業」の存在も問題視されています。本来なら赤字で潰れてもおかしくない国有企業が、政府や銀行からの融資で生きながらえているという問題です。

渡邉 ゾンビ企業に対して、政府は「構造調整を行う」と閉鎖する姿勢を示していますが、そんなことをしたら大量の失業者が生まれることは明らかです。国有企業の下には下請けや孫請けなど多くの企業がぶら下がっており、多くはコングロマリットを形成しています。そのため、地域産業の壊滅を招くと同時に、不景気に対する鬱屈は政府への不満となって跳ね返ってくることになるでしょう。

 このように、中国はバブルの温床である資金量を絞ることができないため、さらにバブルが膨らむという悪循環に陥っていると同時に、資金量を絞れば破綻する企業と銀行の不良債権が増大するというジレンマを抱えています。日本のバブル崩壊時を見てもわかるように、銀行の経営が不健全化すれば、その余波で経済停滞が悪化すると同時に長期化する可能性も高くなります。

 これは、中国がここ数年抱えていた問題ではありますが、伊勢志摩サミットやイギリスのEU離脱という世界的な流れの中で、さらにクローズアップされているわけです。そして、国際社会の変化の中で、中国の苦境が浮き彫りになっているといえるでしょう。
(構成=編集部)

『欧州壊滅 世界急変:「英EU離脱」で始まる金融大破局の連鎖』 2016年6月24日、国民投票による英国のEU離脱決定で大揺れとなる世界経済。欧州解体の行方、今後の日本、中国、米国への影響と金融恐慌の可能性は。ブレクジット・ショックの世界を完全分析! amazon_associate_logo.jpg

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