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名門・出光の悲劇…突然に創業家が経営介入で混乱、国主導の業界再編が破綻寸前

文=編集部

 1953年の日章丸事件以降イランと親密な関係を維持している出光が、サウジアラムコが第2位の株主となっている昭和シェルと合併するのは、「火中の栗を拾うようなものだ」という論法だ。

 日章丸事件とは、1953年に英国がイランの石油輸出を封鎖した際、出光創業者の出光佐三氏がイランから石油を輸入した事案だ。日章丸で隠密航海を続け、英国の封鎖をくぐり抜けてイランで石油を買い付け、日本に運んだ。英国政府とメジャーを向こうに回して佐三氏が勝利した。

 その後、出光とイランは友好な関係にある。佐三氏以来、イランに特別のシンパシーを抱いてきた創業家にとって、イランと敵対関係にあるサウジの国営企業の影響力が強まるのは望ましいことではない。

 だが、ビジネスの現実を見れば、この主張には違和感がある。出光は輸入原油の4割をサウジから調達している。日本全体でも3割超をサウジから輸入しており、サウジは最大の輸入先なのである。「創業者が築いたイランとの親密関係が崩れることを合併反対に挙げたのは、いわば感情論。経済原則に沿ったものとはいえない」(石油元売りの最高首脳)との冷ややかな見方があるのは事実だ。出光の現経営陣は戸惑うばかりだろう。

創業家の孤独な反乱

 来年4月に合併を実現するには、年内に臨時株主総会を開き、出席株主の3分の2以上の賛成を得る必要がある。出光株の33.92%を握る創業家側は、合併承認に拒否権を発動できる。臨時株主総会で昭和シェルとの合併は破談になる公算は、現時点では小さくない。

 そうなると、JXと東燃ゼネラルの経営統合も厳しくなる。なぜなら、出光と昭和シェルの合併で強い2位企業が生まれないと、業界首位と3位の統合によって生まれる新会社が国内石油市場で圧倒的なシェアを持つことになり、公正取引委員会の審査に引っかかる可能性が出てくるからだ。

 官主導で進めてきた石油再編は風前の灯火のように映るが、果たしてどうなのか。だが、経産省が創業一族の反乱を、ただ指をくわえて見ているわけがない。

「実は昭介氏というより、夫人の千恵子氏が、この合併に猛反対している。千恵子氏と親しい浜田麻記子氏との関係で、その夫の浜田卓二郎弁護士が代理人になった。企業の合併という重大な場面に女性2人がしゃしゃり出てきては、まとまる話もまとまらなくなる」(関係者)

BusinessJournal編集部

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