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村澤典知「時事奔流 経営とマーケティングのこれから」

「ありえなかった」リオ五輪リレー銀、卓越した組織戦略&ギリギリのリスクテイクが結実

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 そこで選手たちは、バトンパスをする際の選手間の幅をできる限り広げ、成功するか失敗するかのぎりぎりの状態で見事にバトンパスを成功させた。決勝では米国やカナダなどの他チームと僅差だったことを振り返ると、選手たちの想定した通り、果敢にリスクをとったからこそアジア記録をさらに塗り替え、銀メダルを獲得することができた。

 国内ではなく、グローバル市場での熾烈な競争を勝ち抜くためにストレッチとリスクテイクをしている企業といえば、ソフトバンクだろう。あの身の丈を超える積極的なM&A(合併・買収)をすることにより、他社を圧倒するスピードで企業価値を高めることに成功している。

 また、ストレッチは何もソフトバンクのような全社規模でなくても良い。市場環境と自社の競争力を冷静に見ながら、どの水準の目標値であれば各部門やスタッフかなんとか超えられるラインなのかを判断し、適切な目標設定をするとともに、実行段階において多頻度でのPDCAを回すことで実現することができる。

カリスマやスター社員に頼らない組織力


 男子400mリレーの日本代表の成功から学べる要素としては、「社内間でもお客様のように捉えて連携すること」「慣例ではなく目標達成を重視した戦略人事をすること」、そして「なんとか到達可能なストレッチ目標とリスクテイクをすること」が大きい。しかしながら、この本質は、米アップル創業者のスティーブ・ジョブズやアマゾン創業者のジェフ・ベゾスのようなカリスマやスター社員に頼らず、組織としてのパフォーマンスをいかに最大限引き出すかにある。

 2020年の東京五輪で男子400mリレー日本代表が金メダルを目指すように、日本企業も「個に頼らない組織力」を高めることで、グローバルプレーヤーと伍して戦うことができるだろう。
(文=村澤典知/インテグレート執行役員、itgコンサルティング 執行役員)

●村澤典知
インテグレート執行役員、itgコンサルティング執行役員。一橋大学経済学部卒。トヨタ自動車のグローバル調達本部では、調達コスト削減の推進・実行を中心に、新興国市場での調達基盤の構築、大手サプライヤの収益改善の支援に従事。博報堂コンサルティングでは、消費財・教育・通販・ハイテク・インフラなどのクライアントを担当し、全社戦略、中長期戦略、マーケティング改革、新規事業開発、新商品開発の導入等のプロジェクトに従事。A.T.カーニーでは、消費財・外食・自動車・総合商社・不動産・製薬業界などの日本を代表する企業のグローバル成長戦略、中期経営計画、マーケティング改革(特にデジタル領域)、M&A、組織デザイン、コスト構造改革等のプロジェクトに従事。2014年より現職。大手メーカーや小売、メディア企業に対し、データ利活用による成長戦略やオムニチャネル化、新規事業開発に関する戦略策定から実行までの支援を実施。

・株式会社インテグレート http://www.itgr.co.jp/

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