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ツタヤ図書館、CCC作成の約6千冊選書リストをたった4日で審査・決裁

文=日向咲嗣/ジャーナリスト

 武雄市図書館や海老名市立図書館でも大量の中古本を購入していたことが問題視されたが、多賀城市立図書館が前2例と異なるのは、2万冊を超える新刊を購入している点である。

そこで今回から数回にわたって、新刊選書リストを詳しく分析した結果をレポートしていきたい。

 多賀城市立図書館は、3万5000冊の蔵書をどのようなスケジュールで購入したのだろうか。下の表は、追加蔵書購入スケジュールの全日程を選書リスト及び、それに関連した市の起案文書から抜き出してまとめたものである。

 昨年6月16日付で、5269冊に及ぶ選書リスト(中古分)がCCCから多賀城市教育委員会に初めて提出された。それを皮切りに、今年3月2日の201冊まで約9カ月間、11回にわたって選書リストが提出されている。その結果、中古1万1980冊、新刊2万1650冊の購入が決定されている。

ツタヤ図書館、CCC作成の約6千冊選書リストをたった4日で審査・決裁の画像2

市教委の確認体制に不備?

 まず注目すべきなのは、市教委のチェック体制である。

 過去記事でも見てきたように、原則としてCCCが作成して提出してきた選書リストの素案を市教委がすべて細かくチェックし、「適正」(選書基準に合致している)と判断した書籍のみを購入許可するという流れになっている。

 その結果、第4回を除く第1~5回の一部までの中古本に関しては、市教委が多数「受入拒否」としており、特に第3回に至っては全体の24%と、ほぼ4冊に1冊の割合で「受入不可」扱いになっていたことが判明した(参照:http://biz-journal.jp/2016/07/post_15733.html)。

 武雄市図書館の不適切な選書問題が大きな問題となり、CCCが謝罪文を発表した直後の昨年9月15日に提出された第3回リストには、刊行から10年以上経過した古い本は1冊もなくなっていた。

ツタヤ図書館、CCC作成の約6千冊選書リストをたった4日で審査・決裁の画像3

 CCCによる中古選書の内容のひどさに業を煮やしたのか、第4回に至っては市教委自らが新刊の児童書、歴史・郷土を中心にした選書を行い、CCCに有無をいわさずそれらの購入命令を出すにいたった顛末は、7月3日付『ツタヤ図書館、ついに不信強める市が大量「古本」選書を拒絶!CCC関連会社から大量購入』で報じた通りだ。

 様相が一変するのは、第4回以降の新刊に関する選書である。驚くべきことに、中古本のケースとは打って変わって第4回から第11回の新刊選書リストにおける「不許可」が1件もない。つまり、新刊に関しては、実質的にほぼノーチェックで多賀城市教委はCCCの提案を受け入れている。いずれの回も、結果的に在庫がなく納本されなかった「受入不可」(または汚破損で返品)が5~10パーセントあるのみである。

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