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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

深刻な「熟睡できない」問題、どう解消?心配不要?睡眠薬は薬物依存に陥る危険性も

文=新見正則/医学博士、医師
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 確かに、睡眠の専門外来でない限りは、睡眠時の脳波を測定して本当にどのくらい脳が休まっているかを調べたりはしません。患者から『不眠だから睡眠薬をくれ』と切望されると、ベンゾジアゼピン系睡眠薬を比較的安易に処方する現実があります。そして通常使用量で依存症となり、一剤の量が増え、次に複数処方になり、それでも不眠を訴える人がいます。また、抗不安薬として同薬が処方され、睡眠薬と抗不安薬を合わせると数種類の同薬を内服している人も少なくありません」

 最近は、ベンゾジアゼピン系ではないメラトニン受容体作動薬なども使用できますが、ベンゾジアゼピン系薬剤のように簡単に眠りに落ちることは難しいのです。漢方薬はベンゾジアゼピン系薬剤には効力ではまったく及びません。

睡眠のための環境整備が重要

 確かに極論君が言うように、適切な睡眠が健康に重要なことは誰も反論しないでしょう。その方法が極論君では薬剤となっています。そこが問題で、まずいろいろと環境整備をしてはどうでしょうか。具体的には以下が有効だといわれています。

・心地よい疲れを導く程度の運動を行う。
・寝室の環境や寝具に気を配る。
・規則正しい食生活をして、あまりにも空腹で、またはあまりに満腹で寝ない。
・夜中にトイレに起きる傾向がある人は寝る前の水分は少々控える。
・カフェインで眠れなくなる人は、お茶、コーヒー、チョコなどを控える。
・お酒の力で眠ることは絶対に慎む。
・ニコチンには興奮作用があるので、夜の喫煙は避ける。
・寝床でいろいろと考えることは控える。

 そして歳をとると、熟睡感が少なくなるのは当たり前だと思うことも大切です。若い頃のように朝までぐっすり眠ることは、ある程度の年齢以上では至難の業です。そんなことを考慮しても、やっぱり眠れない、そして仕事や家庭に支障が出るときは、睡眠の専門家を受診しましょう。ベンゾジアゼピン系薬剤も一概に悪役ではありません。適切な使用が大切なのです。適切な使用方法を知っている睡眠の専門家に、ぜひ診てもらってください。
(文=新見正則/医学博士、医師)

●新見正則(にいみ・まさのり)
1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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