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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

集団発生が多発の麻疹、ワクチンの予防接種は無意味?どんどん麻疹に罹ったほうがいい?

文=新見正則/医学博士、医師

 常識君の返答です。

「確かにその通りです。多くの人と遭遇する場所に出入りしないことが可能なら、そんな選択肢も当然にあり得ます。しかし、空港で働いている人は麻疹が流行りだしたからといって、仕事を放棄するわけにはいきません。麻疹の死亡者数は1947年には約2万人でした。それが今は数十人と思われます。ですから予防接種は受けたほうがいいと思うのですが」

 すると、“非常識君”がコメントします。

「麻疹ワクチンは1976年から導入されています。75年には麻疹による死亡数は約200人です。つまり、麻疹による死亡者数を大幅に下げた原因は、栄養状態の改善や対症療法の進歩で、麻疹ワクチンがどこまで貢献しているかは疑問です」

 そして非常識君らしい主張をします。

「僕は元気な人は、どんどんと本物の麻疹に罹ったほうがいいと思っています。本物に罹れば一生涯有効な免疫が成立するからです。麻疹に罹ると重篤化するような人だけに麻疹ワクチンを接種すればいいのではないでしょうか」

まずはワクチンの2回接種を完璧に行うべき?

 これを受け、極論君が質問します。

「世界には麻疹が日常的に流行っている国が多数存在します。発症しても正しい処置をすればたいして死亡率が高くない麻疹ワクチンに、十分なお金を使えない国や国民です。以前は、そんな国からの旅行者はほとんどいませんでした。ところが、飛行機運賃が極めて低価格化して、世界中でいろいろな国の人々が行き来できるようになりました。つまり日本にそんな国から麻疹が運ばれてくることは、当然に予想されるのです。

 また、日本人の旅行者がそんな国を訪れて、麻疹に感染して帰国することもあるでしょう。麻疹には約10日の潜伏期があり、水際での麻疹対策には限界がある以上、感染のリスクは『今ここ』にあるのです」

 そこで、非常識君のコメントです。

「だからこそ、さっさと元気なときに麻疹に罹ってしまえばいいのですよ。そうすれば、世界中どこに旅行や仕事に出向いても感染しません。ワクチンを打ってその後に本当に麻疹に罹りたくない人は、10年毎にワクチンを打ち続けてもよいでしょう。また、採血で麻疹の抗体価(抗体の力)を測定して、低下していればワクチンを追加でどんどん打つという方法がもっとも理論的には正しいでしょう」

 常識君がコメントします。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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