
スマートフォン(スマホ)やパソコンの画面、LED電球から発生する「ブルーライト」。今はブルーライトをカットする眼鏡なども市販されており、「悪いもの」という印象を持っている人も多いのではないだろうか。
しかし、ブルーライトは百害あって一利もないものではなく、むしろ「時間帯によっては、しっかりとブルーライトに接したほうがいい」と説く本がある。『ブルーライト 体内時計への脅威』(集英社)だ。著者で慶應義塾大学医学部眼科教授の坪田一男氏に、正しいブルーライトとの付き合い方について聞いた。
体内時計を狂わせ、失明の原因にもなるブルーライト
–そもそも、ブルーライトとは、どのような光なのでしょうか?
坪田一男氏(以下、坪田) そもそも光とは何かといえば、電磁波の一種です。さまざまな波動(波長)があり、その中で、ヒトの目が感知できるものを可視光といいます。ブルーライトは可視光の中の青色の光のことです。太陽の光は無色透明に見えますが、実際には波長が長い順に赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の光が混ざっているのです。虹の7色ですね。
電磁波はエネルギーを持っていて、波長が短いほど強くなります。青い光は波長が短く、エネルギーが強いために大気中の水蒸気やチリに何度もぶつかり、跳ね返って空いっぱいに広がります。だから、空は青く見えます。青以下の藍や紫の光は、波長がさらに短く、散乱してしまうため地表には届きにくいのです。可視光線の赤よりも波長が長い光は「赤外線」、紫よりも波長の短い光が「紫外線」です。
室内の照明やテレビやパソコンの画面の光は、さまざまな方法で発光していますが、近年開発されて急速に普及しているLEDには、透明に見える光の中に、実は青色の光がたくさん含まれています。

–ブルーライトは、電子機器やLED電球によって生み出されたものではないのですね。でも、もともと自然界にあったものならば、なぜ近年、ブルーライトの健康被害が急に問題視されるようになったのでしょう。
坪田 液晶ディスプレイから発せられるブルーライトは、太陽からのブルーライトにくらべれば弱いものですが、現代人はともすると朝から晩まで長時間凝視する生活になってきました。光の照度は距離の二乗に反比例します。光源からの距離が2倍になると4分の1の照度になりますが、距離が2分の1になると4倍の照度になります。パソコン、さらにスマホは、光源をより近い距離で見つめるので、ブルーライトの影響がより大きくなってしまうことが危惧されています。
『ブルーライト 体内時計への脅威』 スマートフォン、タブレット、LED照明……今や日常生活の至るところで、我々が否応なく過剰に浴びているブルーライト。実は、その光は眼に、人体に深刻な影響を与えている。眼精疲労や加齢黄斑変性など眼への影響だけではなく、夜間に過剰なブルーライトを浴びると体内時計が壊れ、心身に変調をきたすのだ。LEDディスプレイから発せられる、そうした光をカットするPCメガネの登場など世の中の関心が高まるなか、増え続けるブルーライトの使用に警鐘を鳴らし、対策を伝授する。

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