家具チェーンのニトリホールディングスも同様だ。低価格帯の家具で人気を集め、デフレ下で業績を伸ばした“デフレの勝ち組”だった。政府が旗を振る脱デフレの波に乗り、15年ごろから中価格帯の家具に注力。プランタン銀座など都心部に出店攻勢をかけ、低価格路線で客を集める郊外型専門店というイメージからの脱皮を図ってきた。

 似鳥昭雄会長は6月30日の決算発表の席上、「今後、何があっても値上げしない」と値上げの凍結宣言を行った。出店攻勢で16年3~8月の全店の累計売上高は前年同期比8%増だが、客単価は1.4%減と前年を割った。中価格帯の商品の売り上げが明らかに伸び悩んだことが原因だ。そのため、低価格路線に戻すことにしたわけだ。

 スーパーマーケット各社は、幅広い品目を低価格で売るキャンペーンにカジを切った。ダイエーは9月1日から3カ月間、価格を安くする販売企画の対象品目を1.6倍の330に増やした。

 イタリアの有名なファッションブランドであるグッチや、フランスの宝飾品ブランドとして知られるカルティエは、8月に入り相次いで平均で7~10%値下げした。米ティファニーはペンダントなどの宝飾品を9月14日から平均4%値下げした。値下げは7年ぶりだ。50万円のダイヤモンドの婚約指輪は2万円安くなった。各社は円高の進行に伴う国内外の価格差を是正するのが狙いだと説明している。

 総じて、小売りでは値下げの動きが加速した。

客単価が高いファミレスは明暗を分ける

 外食チェーンは、明暗が分かれた。景況感の改善で好調を維持してきたファミリーレストランでは、昨年後半からの景気減速が客単価の高い店舗チェーンを痛打した。

 14年10月、“ファミレスの雄”すかいらーくは再上場を果たした。主力業態のガストの既存店売上高は、今年に入ってから7月を除いて前年割れが続いている。8月は客数が5.1%減、売上高は6.5%減と落ち込み幅が広がった。

 ロイヤルホールディングスが運営する“ファミレスの元祖”ロイヤルホストも、既存店売上高は7月を除いてマイナスだ。8月は客数が6.2%減、売上高が5.4%減と落ち込みが目立つ。

 これに対して、低価格のイタリア料理のファミレスを展開するサイゼリヤは売り上げ、客数とも落ちていない。16年8月期通期の連結売上高は前期比6%増の1474億円、営業利益は12%増の84億円、純利益は22%増の46億円の見込みだ。

 サイゼリヤは値上げをせずに低価格を維持し、集客力を高めた。16年8月期の既存店売上高は2.6%増。客数が1.8%増えたことが寄与した。堀埜一成社長は「値上げしないことが支持された。これからも値上げしない」と語っている。

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