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上昌広「絶望の医療 希望の医療」

ジカ熱、国内流行の危険高まる…性交渉や接触のみで感染の可能性、脳異常や死亡例も

文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長
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 ジカ熱は妊婦以外には問題を起こさないと考えられていたが、当初、予想していたよりもはるかに「難敵」かもしれない。少なくとも、昨今のメディアで報じられているような「楽観視」は禁物だ。

不十分な日本の対応

 では、日本の対応はどうなっているだろう。厚生労働省をはじめ、関係者は懸命に努力しているが、十分とはいいがたい。厚労省は、ジカ熱の流行を受けて、「四類感染症」に指定した。マラリアやデング熱と同じ扱いだ。医師は、ジカ熱が疑わしい患者を診察したら、厚労省が指定する手順に従って診断し、所定の医療機関に紹介することが求められる。ただ、これは厚労省が現状を把握するための情報収集であり、国民を守るわけではない。

 ワクチンなど有効な予防法が開発されていない現在、ジカウイルスから自分と家族を守るには、東南アジアにいようが、国内にいようが、蚊に刺されないようにするしかない。

 実は、蚊は世界でもっとも危険な生物だ。伝染病を媒介することで、年間72万人を「殺し」ている。ちなみに2位は人の47万人、ついでヘビの5万人だ。熱帯地方では、蚊に刺される危険性を住民が認識している。一体、どの程度の日本人が、そのような感覚を持っているだろう。

 蚊対策で有効なのは、虫除け剤だ。世界ではディートとイカリジンが汎用されている。

 ところが日本では、それぞれ12%、5%以下の低濃度のものしか入手できなかった。世界標準は30%、15%である。日本製の虫除け剤は数時間で効果が切れる。つまり「不良品」だった。

 今回のジカ熱の流行を受け、厚労省は高濃度の製品の承認申請があれば、迅速に審査する方針を示した。最近になって、フマキラーがイカリジン15%の製剤を9月中旬から発売することを表明したが、本格的な展開は来春を予定しているという。今夏、どこまで実効性があるかは不明だ。

 私の周囲のビジネスパーソンのなかには、高濃度製剤を個人輸入し、海外出張やアウトドアライフを楽しむときに使用している人が少なくない。ジカ熱は、メディアが報じるよりはるかに恐ろしい。当面は情報を集め、自ら身を守るしかない。
(文=上昌広/特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長)

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