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片山修のずだぶくろトップインタビュー 第5回 八郷隆弘氏(本田技研工業 代表取締役社長執行役員)前編

「一人負け」ホンダ社長が初激白…リコール続出の裏で、前代未聞の進化的経営革命

構成=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

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八郷 マトリックス構造のマネジメントは、非常に難しいんですよ。縦と横が交わる「接点」における調整は、ややもすると時間がかかる。意思疎通がきちんとできていないと無駄な議論を繰り返すことになりかねません。地域と本社のバランスが求められます。

環境変化への対応

片山 ホンダに限らず、リーマンショック後の世界の環境変化に対応するために、自動車メーカーには変化が求められました。今も、自動車産業をとりまく環境は急速に変化し続けています。20年後、30年後の自動車産業は、いったいどうなっているか。企業も変わり続けることが求められますね。

八郷 リーマンショックで価値観が変わりましたが、この先はもっと変化するでしょう。地球規模で考えると、価値観はどんどん細分化しています。北米、日本、中国、ヨーロッパなど北半球圏は、環境や安全に対する価値観が高い。

片山 だからこそ、ホンダは30年に世界販売台数の約3分の2をプラグインハイブリッド車、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車など電動車にするとしていますね。

八郷 そうなんですが、一方で、南半球圏のアフリカや、アジア、インド、南米などの人々は、もっと自分たちの手に入りやすい商品で生活を豊かにしたいと思っている。市場やインフラの整わないところに、電気自動車を投入しても売れません。したがって、グローバルには2つの方向で攻める必要があります。

 地域ごとに事情や環境は異なるなかでビジネスをするのだから、各地域が一緒になって、地域をこえて融合する部分が必要になります。生産についても、相互補完できるよう変えていかないといけません。

ホンダの立ち位置

片山 トヨタ自動車、独フォルクスワーゲン、米ゼネラルモーターズのビッグ3が世界販売台数1000万台規模となるなか、八郷さんは前任の伊東さんが12年に掲げた600万台の目標を取り下げました。昨年の世界販売台数は約470万台。一方で、次世代環境車をはじめとする研究開発ではビッグ3と勝負しなくてはいけない。大変難しい舵取りが必要です。ホンダの立ち位置について、どのように考えていらっしゃいますか。

八郷 お客さまは、ホンダに何を期待されるかと考えれば、技術で夢を実現することだと思います。つまり、数を売る車だけではない。500万台規模で生き残るためには、お客さまの夢をかなえる商品を出していくことが重要です。

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家

愛知県名古屋市生まれ。2001年~2011年までの10年間、学習院女子大学客員教授を務める。企業経営論の日本の第一人者。主要月刊誌『中央公論』『文藝春秋』『Voice』『潮』などのほか、『週刊エコノミスト』『SAPIO』『THE21』など多数の雑誌に論文を執筆。経済、経営、政治など幅広いテーマを手掛ける。『ソニーの法則』(小学館文庫)20万部、『トヨタの方式』(同)は8万部のベストセラー。著書は60冊を超える。中国語、韓国語への翻訳書多数。

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