NEW
筈井利人「一刀両断エコノミクス」

ノーベル経済学賞は「ノーベル賞」ではなかった!人類に貢献せず、経済的混乱の要因に

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 これに対し、経済学はどうだろう。ノーベル賞を受賞した経済学者が人類のために成し遂げた「偉大な貢献」が、何か思い浮かぶだろうか。

 最近の受賞理由をみると、「労働経済におけるサーチ理論に関する功績」「資産価格の実証分析に関する功績」「消費、貧困、福祉の分析に関する功績」など、何やら立派そうな「功績」が並ぶ。経済学界の中ではすごいことなのだろう。しかしこの経済学者たちのおかげで労働者の生活が楽になったとか、株や土地の資産バブルを防ぐことができたとか、貧困を減らすことができたとかいう話は聞いたことがない。

 それどころか、百年に一度といわれた2008年のリーマン・ショックやその後の世界的な財政金融危機を事前に予測した経済学者は、ほとんどいなかった。1997年に共同受賞したマイロン・ショールズとロバート・マートンが経営にかかわった投資ファンド、ロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)は、同年発生したアジア通貨危機による市場の変化を読み誤り、破綻した。

 お粗末な話はもっとある。1980年受賞のローレンス・クラインは世界各国の経済モデルを結びつけ、およそ3000もの方程式で構成されるとてつもなく複雑なモデルを構築。受賞スピーチでこのモデルに基づく長期予測を披露し、米国で石油価格が上昇し、インフレが続き、財政・貿易収支が赤字から均衡に向かうと予想したが、ことごとく外れた(トーマス・カリアー『ノーベル経済学賞の40年 上巻』<小坂恵理訳/筑摩選書>)。

「えせ科学」

 失敗ばかりをあげつらうのはフェアではないと思うかもしれない。「失敗は成功の母」という言葉もある。物理学をはじめとする自然科学も、失敗を重ねながら、そこに改善のヒントを見いだし、正しい法則の発見に結びつけてきた。むしろそうした試行錯誤に基づく発展こそ科学の特質といえる。

 だが問題は、経済学に自然科学と同じような、失敗から真理を見いだすメカニズムが備わっているかどうかである。

 この点について、著名な物理学者のリチャード・ファインマン(1965年ノーベル物理学賞受賞)が1981年のインタビューで厳しい指摘をしている。経済学を含む社会科学は「えせ科学(pseudo-science)」だと断じているのだ。

 ファインマンは言う。

「科学が成功したので、えせ科学が現れました。社会科学は、科学ではない科学の一例です。科学の形式にならい、データを集めに集めるのですが、何の法則も発見できません」

ノーベル経済学賞は「ノーベル賞」ではなかった!人類に貢献せず、経済的混乱の要因にのページです。ビジネスジャーナルは、連載、ノーベル経済学賞リチャード・ファインマン日本銀行の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!

Ranking
  • 連載
  • ビジネス
  • 総合
BJ おすすめ記事