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JMR生活総合研究所「消費と会社の戦略を読む」

セブン&アイの柱「オムニ7」、失敗か…アマゾンや楽天に圧倒的敗北、「閉鎖性」解消がカギ

文=舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー

 売場では、ネットを利用することにより、時間や場所の制約を受けることなく、いつでもどこでも注文できるようになった。また、受取りも宅配だけでなく、24時間セブン-イレブンで店頭受取りができる。このセブン-イレブンの店舗網の活用で、顧客の利便性を高める狙いだ。

 商品については現在の300万アイテムを18年には600万アイテムまで拡大するという。また、品揃えを重視し「セブンプレミアム」やメーカーとの共同開発を増やして、オリジナル商品によって差別化を図ろうとしている。

 接客については、店舗で顧客に最適な接客をするために、商品紹介ノウハウをグループで共有している。また、御用聞きとして、来店することが難しい顧客の自宅へ訪問し、注文を受けるサービスも一部の店舗で導入している。

 このように、これまでのリアル店舗やネット通販個別では体験することのできない買物体験を提供しようとしているが、アマゾン、楽天のネット通販と比較して強みとなっている取り組みは少ない。

 取扱アイテム数は、オムニセブンの当面の目標である600万アイテムが品揃えできたとしても、顧客に選ぶ楽しさやワンストップショッピング環境を十分には提供できない。アマゾンと楽天は1億アイテム以上を扱っており、圧倒的に負けている。また、店頭受取りの店舗数、配送スピードなどの顧客サービス面でも優位にあるとはいえない。優位にあるのは、送料と返品手続きのみである(図表2)。

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接客端末は成功するのか

 
 オムニセブンの第2弾の強化策として打ち出されたのが、「接客端末」である。オムニセブン導入当初は6,000店で展開されていた接客端末を、6月中にセブン-イレブン約1万9,045店全店に導入する。利用方法は、店頭での接客による注文受付のほか、接客端末を持参して顧客を訪問し、その場で受注したりすることを想定している。

 接客端末は1店当たり1台を基本に導入を推進している。接客端末では、オムニセブンに参加しているグループ各社のECサイト商品、グループ会社のセブン・ミールサービスが展開するセブン-イレブンの弁当やおにぎり、サンドイッチといった商品を購入できる。

 単なる店頭受取りではなく、自店にない商材を注文、接客端末を通じて受けることができ、リアル店舗では制約のあった取扱アイテム数の壁を越えようとする試みである。しかし、先行導入店で大きな成果を収めたという声は聞こえてこない。

舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー

舩木龍三/JMR生活総合研究所、ビジネス・ディベロップメント・マネジャー

JMR生活総合研究所

 生活者の総合研究に基づいて、新しい事実を発見し、その事実から戦略を組み立て、経験を生かしたコンサルティングを通じて、クライアントの問題解決を行う。1991年に設立してから今日までの約25年の間に、年間平均250、延べ5000のテーマに取り組んできた実績を持つ。主たる領域は、食品、飲料・酒、化粧品・日用雑貨、輸送機器、家電・情報通信、流通など生活者と接点を持つ業界。日本を代表する企業のマーケティング課題のソリューション(解決)に取り組んでいる。

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